富山県 立山〜剱岳(二日目)

9月24日
AM4:50起床。
周りの寝床を見るとかなりに方々がすでに出発もしくは準備をしている様子でだれ一人寝ている人はいない。
外を見ると快晴。しかし、雪が若干積っているようで山荘の周りは白い。

AM5:30 朝食。
一般的な山小屋の食事。しっかりとお茶碗二膳を平らげる。

             朝 食                            鹿島槍ヶ岳から登る朝陽

剣山荘の方々も特に止めることもなく、宿泊客はどんどんと山頂に向けて出発している。一時は登頂を諦めていたが、皆さんが行っているのならば大丈夫でしょう。我々も急がないと。

AM6:22 剣山荘出発。
実は今回、山頂までの往復は我々二人とベットで隣になった富山県内からいらっしゃったご夫婦の四人で行動することとなった。特に約束した訳でもないのであるが、何となくであった。とっても優しいご夫婦でした。

まずは一服剱へ。ウォーミングアップとしてはちょうどよい登り応え。そして1・2の鎖場を通過する。正直、鎖なんて必要ないくらいの箇所。

       一服剱に向けての登り                          一服剱手前の鎖場

AM6:48 一服剱到着。
目の前には前剱がドッカ〜ンと構えている。岩肌が白い(泣)。ちなみにここから剱岳は見えない。

一服剱から前剱を望む

岩場を一旦下って鞍部に出て、今度は前剱頂上への急登。浮石の多い道。やっぱり雪が積もっている。時間はたっぷりあるのでゆっくり登る。

          前剱への道 1                             前剱への道 2


          前剱への道 3                             前剱への道 4

AM7:43 前剱頂上到着。
ここからの景色は絶景である。薬師岳・黒部五郎岳〜別山・立山〜後立山連峰〜富山湾まで。360℃の大パノラマ。しばらくこの絶景を眺めていたが、急に寒くなってきた。先を急ぐ。

            前剱頂上                           前剱頂上から観た剱岳


前剱頂上から観た剱岳

AM7:47 前剱頂上を出発。
ここからは本格的な岩場の連続となる。前剱の門が現れる。以前からここの画像を見て、同行者が怖がっていた場所。どうやら細い橋がいやなようだ。しかし難なくクリア。その後のトラバースも大したことはなく無事にクリア。

前剱の門のトラバース


前剱の鎖


続いて平蔵の頭。鉄杭を打ちつけられた箇所を進むが、これも大したことなし。しかしその後は急斜面の岩場を下る。決して難しい場所ではないが、下を見ながら下るため、高所恐怖症の方には少しきついかも・・・・。 。

平蔵の頭への取り付き


平蔵の頭を下る

次に平蔵のコルを登る。これは短い登りのため、それほどでもない。



さあ。ここからが名物の「カニのタテバイ」。すでに渋滞が始まっている。我々の前に30〜40名ほどの方が取り付きを待っている。思いのほか、簡単そうに見える(その時はですが・・・)。先に登る方々を参考にイメトレをする。取り付き箇所から上までは30mくらいしかないのではないか?って思えた。

カニのタテバイの渋滞


カニのタテバイ 1


カニのタテバイをアップと左上部に見えるのがカニのヨコバイ


カニのタテバイ 3

いよいよ我々の順番。同行者を先に行かせる。自分は下から指示。前半に関しては全く問題なし。しかし中盤から上が・・・・。昨晩の降雪で凍っている箇所あり。また傾斜もきつくなり高度感がかなりある。この時にさっき思った「簡単そう」という言葉を撤回したくなった。もう終わりに近づいた時には足場はなく、腕の力で登らなければならなかった。石槌山の鎖場よりは簡単ではあるが、ここもなかなか大変である。

カニのタテバイ 4


カニのタテバイ上部から斜面を見る

このカニのタテバイが終わると山頂まで、鎖場はなし。ここからの道は大したことないと思っていたが、大間違い。長い急登である。ガレ場のような箇所を延々と登る。そんな道を約20分。ようやく早月尾根との合流標識を目視。

頂上に向けての登り

AM10:05 剱岳山頂到着。
いや〜あ。この日はピーカン。360℃の大パノラマが広がる。富山平野・日本海〜立山・別山(後ろには薬師岳。黒部五郎岳・水晶岳・槍ヶ岳)〜後立山連峰〜ギザギザの八ツ峰〜早月尾根。

山頂の祠


右から薬師岳〜黒部五郎岳〜笠ヶ岳〜立山連峰 眼下には剣沢カール


手前に八ツ峰 奥は鹿島槍ヶ岳〜白馬岳等の後立山連峰


早月尾根のアップ


祠の後ろには小さく白山が見える


三等三角点

昨日は降雪もあって非常に不安だったが、こうして剱岳の頂から大大大絶景を拝めるなんて、信じられないし本当にありがたい。感無量です。心から神様に感謝します!!

それから一緒に登ったご夫婦も無事に登頂しました。本当によかったです。奥さんはよほど嬉しかったようで我々とハイタッチをしました。この気持ち。よ〜く理解できます。

この山頂にいるあいだ。ものすごい「幸福感」が自分を包んでくれた。抜けるように青い空と日本を代表する山々とが相まって、これ以上ないっていうくらいの絶景を拝めていること。そして登頂された皆さんの達成感・感激に満ちた顔。これらがこの場特有の「幸福感」を作っている気がした。

やはり人気の山。次から次へと登山者が到着してくる。山頂は人でいっぱい。それと一緒に登ったご夫婦は今日中に室堂まで戻らないといけないらしい。となるとゆっくりしている時間はあまりない。

お名残惜しいがAM10:40 下山開始。

下山はスイスイ。約10分でカニのヨコバイ到着。やっぱり渋滞。タテバイほどではないが。
ヨコバイに取り付くまでに左側が切れている急斜面(岩場)を下る。結構、これが怖かった。下を見ながら進むため、少しだけ足がすくんだ。実際にヨコバイに取り付くと先に進む登山ガイドのような風貌のおじさんが「第一歩」を教えてくれた。それは鎖から身体を離さなくても見える位置にあった。しかもそれほど下ではなく、中学生くらいであれば間違いなく足が届く位置。ひょっとして巷で言われている「第一歩」とは違うのかな?そんなことで難なく通過してしまった。ここからも北斜面のため凍った鎖場(滑るから怖かった〜)や有名な梯子を下り、ようやく平蔵避難小屋跡に到着 AM11:21。トイレらしきものがあるようだが、確認はしなかった。ここでようやく一息。危険箇所は終わった。しかし、事故はこの後の場所で起こることが多いらしい。疲れと安堵から気を抜くからかなぁ。

カニのヨコバイ取り付き 1


カニのヨコバイ取り付き 2


長い梯子


平蔵避難小屋跡手前の凍った岩場

平蔵の頭を今後は登り、さらに前剱の門も登る。何だか気持ちにも余裕が出てきたせいか、楽しい。アスレチック気分かな。

平蔵の頭 登り


前剱の門 登り

AM11:59 前剱頂上到着。
ここで間近に迫る「剱岳」を見納め。実はここからが思いのほか、大変。浮石ゴロゴロの急登を一気に下るのである。慎重に進まないと確実に捻挫する。お尻に力を入れながら進む。

一服剱への急な下り

PM0:43 一服剱頂上到着。
今度はここで間近に迫る前剱を見納め。下を見ると剣山荘はもうすぐ。


一服剱から剣山荘へ

PM1:06 剣山荘到着。
ご一緒させていただいたご夫婦と握手を交わし、お開き。ペットボトルコーラで乾杯?をして剣山荘のお弁当で昼食にする。割と素っ気ないメニューだが、お米が美味い。
デポさせていただいたリュックサックを回収し、剱澤小屋へ向けて出発。実は一緒に登ったご夫婦とまた一緒になり、剱澤小屋まで一緒に進んだのであった。

PM2:09 剱澤小屋到着。
受付には剱澤小屋のイケメン息子さんがいらっしゃった。部屋は5号室の下段。一人一組の布団なので快適。

           我々の寝床                         剱澤小屋内部の様子

まずはシャワー。男性時間なのでまずは自分が。その後、女性時間に切り替わったため同行者が浴びる。石鹸使用禁止であるが、ありがたい存在である。汗を流せるだけで全然違う。
身体がさっぱりした後は350mlの缶ビールを買って、小屋の前にあるベンチに腰を掛けて乾杯。実はこの剱澤小屋から観る剱はものスゴイ迫力。絶景ポイントである。これを肴にビールなんて贅沢以外の何者でもない。すると明日、山頂にアタックする予定の大阪からいらっしゃった仲の良さそうなご夫婦に話しかけられ、根掘り葉掘り質問される(笑)。やっぱり初めての剱岳挑戦のため不安があるらしい。我々もそうであったため、その気持ちは非常によくわかる。なので答えられることは全て答えた。

剱澤小屋から観た前剱と剱

PM5:00 夕食。
この日は厚さ1cm以上はあるトンカツ。それから大きな器に盛った具たくさんの豚汁。お米も美味い。山小屋でこんなに美味い食事を食べたのは初めて。評判通りの味だった。食後はセルフサービスのインスタントコーヒー(1杯/100円)。安くて手軽でいいサービスだと思う。

             夕 食                            夕暮時の剱澤小屋

食事の後は談話室で山雑誌を読み漁り。するとひょんなことから地元富山から来た方と仲良くなり、消灯までずっと話をしていたのであった。その方は仙人池〜阿曽原〜欅平へと向かうらしい。

この晩もやはり寝つきが悪かった。隣の方のいびきが・・・・。しかも時間を追うごとに自分の布団を占領してくる。これはさすがにご勘弁願いたい(笑)。



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11.9.23〜25