2010年 富士山(富士宮口)登山
昨年のこの時期。人生初の富士登山をしました(レポートはこちら)。しかし剣が峰に登頂出来たのは自分ひとり。同行者は高山病のため浅間大社奥宮でダウン。あと少しのところでした。剣が峰を目の前にしてのことです。そんなことで再度トライすることとなりました。この一年。かなりの山々に登ってきましたので体力的には問題ないと思います。あとは高山病だけが心配です。
とうとう梅雨明け。天気を観ながらの登山実行であったので山小屋は予約してません。っていうより、この時期に予約しようとしても平日以外はどこの山小屋も満員です。もうこうなると日帰り登頂しかありません。
三連休初日。混雑が予想されますが、何とかそれをくぐり抜けながら行きたい。自宅を午後2時出発。この時間なら少しはマシだろうと思っていたが、首都高速、東名高速とも断続的に渋滞。結局、足柄SAについたのはPM5時半近くになってしまった。
御殿場ICを下り、富士山スカイラインを目指すと目の前には富士山が。デカ〜ッ。ものすごい存在感。


PM6:30。二合目の水が塚到着。ここで車を置き、着替え等の準備を終え、シャトルバスで富士宮口(表口)五合目に向かう(往復1,300円)。普段は五合目まで車で行けるらしいが、連休等の混雑日には一般車を立ち入り禁止にしている。


バスは富士急行の大型観光バス。PM7:00出発。夕陽に染まる下界の雲海を観ながら、約30分で富士宮口五合目到着。上を見ると途中にある山小屋や一番上には山頂らしき建物が見える。思いの外、近そうな印象。


早速、表口五合目レストセンターにて高度順応を兼ねて食事タイム。同行者の作ったおにぎりを食べ、ゆっくりとする。ここから観える雲海は見事である。右手には南アルプスと思われる山々が雲の上に顔を出している。




PM8:25。表口五合目出発(標高2,400m)。空はすっかりと暗くなり、ヘッドライトがないと歩行困難なほど。山の夜は本当に暗い。歩き始めは程よい傾斜の道。やや砂地気味ではあるが歩きやすい。夜のハイキングといった気分。下界に見える街の灯りが妙にきれい。何のことはなくPM8:42に六合目雲海荘到着。まだ序の口のため通過。



ここからは段々と傾斜がきつくなるのと同時に足場が悪くなる。ゴロゴロとした岩を踏みながらつづら折りの登山道を登ってゆく。高度の高いせいか、息切れが強くなってくる。ここで同行者に牛歩で進むよう指示。まさに1秒/1歩ペース。このペースに落すと息が非常に楽になる。

PM9:40。新七合目の御来光山荘到着。実はこの上に元祖七合目も存在する。富士山ってこういった紛らわしい表現が沢山ある。八合目だったり本八合目だったり。だから自分は標高しか信じないことにしている。だってがっかりするから。ここで約20分休憩。今回の最大の目的は同行者を剣が峰に立たせること。ゆっくり登ることだけを心掛ける。PM9:59出発。


ここからはさらに傾斜がきつくなる。牛歩ペースでも息切れしてくる。そういう時は歩行中に一瞬、ピタッと止まることである。この止まった時に息を整えて、また登り始めるのである。この歩き方は前回、登山ガイドのWさんから教わったもの。

PM10:41元祖八合目の山口山荘到着。ここはすでに標高3,010m。正直、全然疲れていない。同行者も同様に全く疲れていなくて元気そのもの。普段の登山とウォーキングのおかげだろうか。しかし止まると段々と寒くなってくるので先に進むことにする。PM11:01出発。


ここからも順調そのもの。段々と岩が多くなってきて歩きづらくなってはくる。相変わらず登るペースはゆっくりだが、疲れは感じない。息切れも予防しながらの行動のせいか、深刻な状況には全くならず。PM11:43八合目の池田館到着。標高3,250m。ここでトイレタイム。ちなみに富士宮口山小屋のトイレ使用料はレストセンター(100円)以外は全て200円のようだ。PM11:57出発。


道は先程と同様。岩が多く、ところどころ手を使わないと登れない箇所も出てきた。しかし難しいわけでは全くなく、小学生でもOKレベル。しばらく進むと何となく同行者の背中に「やばい」を感じた。足の運びが重たくなってきたのと声をかけても反応がよくない。とうとう来たか。高山病が・・・・。確か昨年、同行者の体調に変調を来たしたのが吉田口ルートの本八合目付近(標高3,350m)。そことほぼイコールの標高。ここからはとにかく同行者の気に任せることにする。5分進んでは休み、また5分進んでは休み。のようなことを繰り返し、日は変わってAM0:48。万年雪山荘到着(標高3,460m)。
ここで大休憩決定。しかしこれは当初から予定していた行動だったのであった。前回、同行者にとって鬼門だった標高3,400m付近。そもそも、ここに位置する万年雪山荘で体調を整えてから、山頂アタックしようと。なので想定内の行動。
しかしとっても寒い。常備していた使い捨てカイロ二つと銀色の温熱シート(100円ショップで購入)を開け、同行者の身体に巻きつけてもらい、しばし睡眠してもらった。ダウンも持参しており、これらも全て着込んでもらったせいか、温かかったようだった。
その分、自分を保温するものはダウンのみとなり、寒くて指先の感覚がなくなるほど辛かった。
しかし、約1時間の休憩で同行者の体調はかなり回復したようだ。


AM1:48。万年雪山荘出発。この時間になると御来光を拝もうとする登山客の多いこと。おかげで登山道はところどころで渋滞。しかし、この渋滞のおかげで牛歩で登ることが出来るし、呼吸を整えることも出来るのである。まさに災い転じて福となすである。

AM2:21。難なく九合五勺にある胸突山荘到着(標高3,590m)。ここあたりから観る空の綺麗なこと。満天の星が手に取るように観えるのである。しかも何と天の川までがはっきりと。すごいぞ〜。
一応、慎重を期すために小休憩。山頂で混んでも大丈夫なようにここでトイレを済ませる。
AM2:31出発。

ここからも相変わらず渋滞が続く。そのおかげで全然疲れない。同行者の様子もきわめて良好。昨年とは別人。息の切れることもなく会話しながらの登山。

そしてそしてAM3:11。富士宮口山頂到着(標高3,740m)。山頂付近はそれほどごった返したほどではなく、比較的静かに百〜二百名くらいの方々がいらっしゃった。


我々の目的はここではない。昨年、ちょうどこの場所で同行者がダウン。浅間大社奥宮に突き当たると一目散に左へ折れる。すると月明かりに照らされた剣が峰がうっすらと観えるのである。今、ここで休憩する気もない。そのまま剣が峰へ向かう。幸いなことにこの日は風がほとんどない。足を前に進めるとやがて馬の背へ差しかかる。この馬の背。実はクセモノで登るにつれて傾斜がきつくなるのである。同行者はこの傾斜に戸惑いながらもゆっくりゆっくりと登ってゆく。

最後に階段を登りきるとそこが「日本最高峰富士山剣が峰」。標高3,775.6m。一年越しで同行者も日本最高地点に立ったのであった。到達時間も偶然なのだろうか、ゾロ目のAM3:33のことであった。周りは暗いがうっすらと御鉢の中の雪渓が観えるし、富士市を始めとする街の灯りが沢山観える。そして遠くには東京の夜景まで。やっぱり富士山はスケールが違う。
せっかくなのでここ剣が峰にある展望台に登ってみた。鉄骨に囲まれて景色は良くないが、今現在、地に足を付けている人間のみと限定すると、日本国内で最も高い場所に立っているのは我々なのである。



そうこうしているうちに河口湖方面(西方向)の空が明るくなってきた。それに加えて北方向には大迫力の厚い雲海を突き破るように南アルプスの山々と御嶽山であろう山が頭を出している。さらに南に目をやると綺麗な弓型を描いた相模湾と三浦半島。そしてその奥には大都会東京の灯りが見える。すごいスケール。正直、言葉で表現しようがない。とにかくスゴイ。






AM4:37。吉田口頂上方向から太陽さまが顔を出してきた。う〜ん。とっても暖かい〜。気持ちいいというか綺麗というか安心感というか・・・・。「そのパワーで全身全霊を包み込んで下さい」と言いたくなってしまうような気持ちになった。何だか不思議な感覚。
しばらく、この余韻に浸っていたのであった。










AM4:50。下山を開始。すると西方向には綺麗な影富士が出来ているではないか。これはすごい。空に浮かぶ雲と相まって幻想的な富士山を作っている。すばらしい。この影富士を見ながら、馬の背を下りたのであった。なので何度かコケそうになった。






とうとう浅間大社奥宮前まで来てしまった。朝日に染まる剣が峰がオレンジ色に輝いて美しい。


AM5:19。下り始める。ちょうどこの時間。山頂目指して登ってくる方々がかなりいる。なので狭い登山道をお互いに譲りながらの歩行となる。なかなか思うように進まない。


AM5:53胸突山荘到着。一呼吸ついたらすぐに出発。


AM6:20万年雪山荘到着。ここでコーヒーが飲みたくなり休憩。自分はホットコーヒー。同行者はミルクティー(各400円)。どちらもインスタントのようであるが、こういう時には何故か美味く感じる。
AM6:35出発。宝永火口を眼下に見ながらの下山はなかなかのもの。


AM6:58池田館到着。約10分の休憩の後、出発。


AM7:36山口山荘到着。ここでは水分補給のみですぐに出発。


AM8:05御来光山荘到着。5分の休憩をはさんで出発。ちょうどこのあたりから草花が現れてくる。これらは何故だかほっとさせてくれる。


AM8:44雲海山荘&宝永山荘到着。ここでコカコーラゼロを買う。栓を抜くと勢いよく中味が飛び出した。あ〜あ。もったいない(笑)。


AM8:58五合目到着。


やっぱり下りはあっという間に終わってしまった。

ここでは休む間もなく、定員となったためAM9:04発になったシャトルバスで二合目の水が塚へ。
車に乗り込む前に売店でアイスクリームを食べた。350円の何てことない普通のものだが、おばさまが下までぎっしり入れてくれたので満足させてもらった。やっぱり下山直後のアイスクリームは美味い。

最後に頭から足元まで綺麗に観える富士山をじっくりと舐めるように観させてもらい、帰路についた


昨年、富士山に登り終わった直後から「来年は同行者と剣が峰に立つ」と心に誓ったが、今回、何の苦労もなく簡単に達成出来てしまった。
この何の苦労もなく、何の問題もなく、無事に、簡単に登らせてくれた(後押ししてくれた)存在に心から感謝したいと思います。




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10.7.17〜18(夜間登山)