トムラウシ山


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今年の長いSW。日帰りコースとしては非常に長い「トムラウシ山 短縮コース」にチャレンジさせていただきました。無事に登るため、装備はもちろんのこと宿泊先や体調管理までかなり気を付けてきました。

やはりこの山は天候で顔つきが変わります。なので天気予報とニラメッコ。一番良い日にアタックしました。
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短縮コース登山口 4:58→温泉コース分岐 5:18→カムイ天上 5:58→コマドリ沢分岐 7:23〜29→前トム平 8:14→トムラウシ公園 8:50→トムラウシ分岐 9:40〜44→トムラウシ山頂 10:14
登り行動時間(休憩時間含む) 5時間16分

トムラウシ山頂 10:58→トムラウシ分岐 11:23→トムラウシ公園 12:02→前トム平 12:36→コマドリ沢分岐 13:17→カムイ天上 14:33→温泉コース分岐 15:03→短縮コース登山口 15:18
下り行動時間(休憩時間含む) 4時間20分

合計行動時間(休憩時間含む) 9時間36分

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この日はAM2時過ぎには起床。宿泊先であるオソウシ温泉鹿乃湯荘をAM3時前には出発。

快適な道をトムラウシ温泉へ向けて進む。途中、ダート道になるが下の具合は良好で走りやすい。しかし、東大雪荘を過ぎると道は一変。ずっとではないが、時折悪路へと変化する。スピードを出し過ぎると乗用車だと間違いなく底をガリっとやってしまう。
幸い、他の方のHPなどで事前情報を得ていたので上手く進めた。

結局、車を走らせて1時間10分程で短縮コースの駐車場に着くことが出来た(決して飛ばしてません)。一応、公表されている駐車可能台数は30台となっているが、もう少し多く置くことが可能かと思われる(多分50台くらい)。

外は暗いため車の中で待機。朝食のおにぎりを食べてゆっくりする。
少し外が明るくなったところで靴を履き、きれいにされているバイオトイレによって登山届を記入(今回は同行者が)。

4時58分。短縮コース登山口出発。
最初はなだらかな遊歩道のような道。ウォーミングアップにはちょうどいい。

短縮コース登山口出発 (4:58)


(5:14)

5時18分。トムラウシ温泉東大雪荘からの温泉コースとの合流点通過。
ここからは少しだけ急登もあり、体が暑くなってくる。
また巷で言われているとおり、泥でグシャグシャな箇所もあるが、この山に限ったことではないと思う。
また、想像していたよりもずっと整備されている。石段あり、木道ありで。

温泉コース分岐(5:18)


なかなかの急登(5:27)


なかなかの急登(5:51)

5時58分。カムイ天上到着。
まだ樹林帯の中であるが、木の隙間から右手にある山の稜線は見ることが出来る。
ここでは水分補給だけして先を急ぐ。

カムイ天上到着(5:58)

ここから1分くらい進むとトムラウシ山の頂を拝むことが出来る。まだまだあるよなぁ。

ようやく肉眼で見ることが出来たトムラウシ山(6:00)

まだまだなだらかな登りをゆっくりと進む。しばらく行くと左稜線に出る。
すると・・・・・。

目の前に十勝連峰の山々がでっかく、優雅に現れたのであった。
素晴らしいです!(明日登るよ〜)
しばらくはその絶景を正面に見ながら緩やかな登りを進む。

原生林と十勝連峰(6:20)


気持ちのいい道(6:20)

そして再び、右側の尾根へ出ると今度は一気に下る。昨日までの雨の影響だろうか。下はかなりグシャグシャ。意外と滑る。
どこまで下るのだろうと思うほど下る。ちなみに時間を計ったら下り切るのに14分も要した。

前トム平方面と奥に見えるトムラウシ山(6:32)


グジャグジャ急坂を下ってます(7:11)

下り切ると今度は沢沿いに緩やかな登りを進む。

7時23分。コマドリ沢分岐到着。
ここで栄養補給。ゼリーを体に注入。
いままでは緩やかな登りばかりであったが、ここからは本格的な登りになる。

コマドリ沢分岐到着(7:23) ここを右へ渡渉してから急登へ

前トム平の稜線へ向けてコマドリ沢横の急登を進む。
しかし、道は整備されているのか、歩きやすい。

登りやすい急登を進む(7:42)


急登を進む(7:48)

一旦、急登が終わったからと思うと岩礫地帯をトラバース。
備え付けられたロープを目印に進めば歩きやすい。

また、ここからしばらくの区間はナキウサギの生息地。
「チッ」っと鳴く声はたくさん聞けるものの岩陰やハイマツの陰に隠れているのだろう。なかなか逢うことが出来ない。結局、一度もその姿を見ることは出来なかった。

岩礫地帯をトラバース(7:53)


岩礫地帯を上から(7:55)


前トム平へ向けて登り(8:01)


前トム平手前から下を見る(8:07)

8時14分。前トム平到着。
ここに来ると視界が一気に開ける。正面にはトムラウシ山の頂が見え、左手には紅葉真っ盛りの斜面。
ここでも栄養補給タイム。やっぱりゼリーは効く。

前トム平到着(8:14) 正面にはトムラウシ山が!

前トム平からは樹林帯を抜け、稜線を歩くことになる。絶景のデパートであるが、それと同時に悪天候時に避難する場所がない。
あるとすれば鞍部のトムラウシ公園だろうか。ただ、ここは鞍部が故に携帯が通じない様子。

前トム平から見た右側の稜線(8:16)


前トム平から後ろを振り返る(8:17)

しかし、ここからの道は気持ちがいい。
しばらく登るとまた岩礫地帯に差し掛かり、これをケルンに従いながら進む。
チッと鳴くナキウサギの声が気になる。

トム平からの登り(8:19)


石狩岳〜ニぺソツ岳もきれい(8:26)


トムラウシ山を見ながら岩礫地帯を進む(8:27)

一旦、平坦な道へ変わりしばらく進むと今度は人間より大きな岩が積み重なっている岩礫地帯を登る。
これを登り切り、しばらく進むと・・・・。

圧倒されるような絶景に出会えます。

人間よりも大きい岩群を登って行く(8:30)


トムラウシ山が近づく(8:35)

眼下には池塘や紅葉で染まった木々。そして奇岩か点在するトムラウシ公園。
目の前にはすでに裾野は紅葉が始まって見事な色彩を放つトムラウシ山がドカッと存在感たっぷりに君臨しているのである。
この時の感激は今でも忘れない。日本百名山の中でも屈指の絶景だと思う。

なんじゃこの景色 スゴすぎるよ〜(8:37)  トムラウシ公園上から見たトムラウシ山


トムラウシ公園もスゴすぎる〜(8:37)

これらを見ながら眼下のトムラウシ公園に向けて一気に下る。大きな岩もあり、通過するのに若干、気を使わなければいけない箇所もある。

徐々にトムラウシ公園に近づく(8:39)


トムラウシ公園を上から(8:40)


正面がトムラウシ公園(8:49)

8時50分。トムラウシ公園到着。
ここでも栄養補給。
このあたりはアイヌ民族では「カムイミンタラ」と言われていたらしい。現代語に訳すと「神々の遊ぶ庭」という意味らしいが、「ヒグマが遊ぶ庭」という意味でもあるという説がある。それは「ヒグマ=神」という概念がアイヌ民族にはあったからという説。後者ならば怖い〜。気を付けないと。

ここトムラウシ公園は紅葉と点在する池塘と奇岩が妙にマッチしていて今まで観たことにないような光景を作っている。素晴らしいという言葉しか出てこない。


トムラウシ公園からはずっと登り。ハアハアするが、右手に広がる石狩岳〜ニペソツ岳を見ながらのため、疲れは軽減される。

トムラウシ公園を逆側から眺める(9:05)


南沼キャンプ地への登り途中、石狩岳方面を眺める同行者(笑)(9:10)

トムラウシ公園からの急登が終わると傾斜が緩やかな歩きやすい道へと変わる。南沼キャンプ地もあと少し。しかし、今まで見えていたトムラウシ山頂へは直登ではなく裾野を巻いて裏側から登るようにルートが開かれているト。

急登ももうすぐ終わり 正面の山はトムラウシ山(9:11)


急登も終わる ここからトムラウシ山を左に巻く(9:15)


南沼キャンプ地へ向けて歩く自分(9:17)


南沼キャンプ地へ向けて(9:19)


南沼キャンプ地へ向けての道から後ろを見る(9:26) 見える山々は十勝連峰


南沼キャンプ地へ向けての登り(9:27)


南沼キャンプ地へ向けての道から後ろを見る(9:34) 見える山々は十勝連峰


南沼キャンプ地へ向けて(9:37) 右に見えるピークはトムラウシ山頂

9時40分。南沼キャンプ地到着。
ここからは北沼方面とトムラウシ山頂への道の分岐点。
上を見上げるとトムラウシ山の頂がすぐ近くに見えている。

実はここからがなかなかツラい。急登をコースタイムで30分も登るのである。つづら折りの道を登り、一旦、緩やかな道へと出る。しかし、この登り道から見る下界は絶景。

トムラウシ山頂へ向けての登りより南沼キャンプ地方面を見る(9:52)


トムラウシ山頂へ向けての登りより十勝連峰を望む(9:56)

そして大きな岩が積み重なったような急登を進む。手を使う箇所も数ヵ所あり。


トムラウシ山頂へ向けての登り(9:59)


トムラウシ山頂へ向けての登り(10:02)


トムラウシ山頂へ向けての登り(10:06)


トムラウシ山頂へ向けての登り(10:08)

10時14分。トムラウシ山頂到着! 標高2,141m。
やっと着きました。この山の頂に立つことが今年の登山目標。
そして我々には珍しく、山頂にいると次第にガスが取れてきて大雪山方面以外はくっきりと見渡すことが出来たのである。素晴らしい景色!
紅葉と奇岩と奥の深い雄大な山々が相まって今まで経験したことのないような光景に出会うことが出来た。

しばらくしてオソウシ温泉鹿乃湯荘のおばさまに作っていただいた美味しいおにぎりをほおばりながら山頂からの絶景を楽しんだ。

後ろに見えるのは石狩岳〜ニペソツ岳


トムラウシ山頂から見た石狩岳方面


トムラウシ山頂から見たニペソツ岳方面


トムラウシ山頂から見た北沼方面


トムラウシ山頂から見た天人峡方面


トムラウシ山頂から見た十勝連峰方面


トムラウシ山頂から見た大雪山方面(スマホで遊んでみました)


トムラウシ山頂の様子(スマホで遊んでみました)

でも山頂から見える北沼を見ていると何故だか6年前の遭難事故を思い出してしまった。
マスコミなどでは人災とも言われたが自分は想像以上に自然の猛威が強烈だったのではと思ってしまう。何となくだけど、ここに立ったらそう思えてしまった。確かにガイドさんやツアー会社の落ち度はあったと思うが、本当に想定外であったのではないかと。
またあの方々の犠牲があったからこそ今や「低体温症」という言葉が人々にも認知されて、それを回避するための衣類の開発やレスキュー道具などの必要性がより見直されるようになったのは周知の事実だと思う。


10時58分。下山開始。
北沼経由での下山も考えたが同行者の体力を少しでも温存させたいため、ここは色気を出さず、来たルートを戻ることにした。
空は徐々に曇りへと変化してきたが、雨を降らすような雲ではなさそう。
下山は絶景を楽しみたいので樹林帯のコマドリ沢分岐まではゆっくり進むことにする。

南沼キャンプ地方面に向かって下山(11:02)


下に見えるのは南沼キャンプ地(11:14)


トムラウシ公園に向けて下っていく(11:28)


トムラウシ公園に向けて下っていく(11:31)


トムラウシ公園に向けて石狩岳〜ニペソツ岳を見ながら下っていく(11:37)


トムラウシ公園に向けて下っていく(11:53)

12時02分。トムラウシ公園通過。

トムラウシ公園標識前から見たトムラウシ山(12:02)


登り返しをハアハアしながら登るとトムラウシ公園上部に到着。
ここからの景色は目の奥に焼き付けたいので、ここでしばらく佇む。本当に素晴らしい風景。こんなの見たことない。

トムラウシ公園上部から見たトムラウシ山(12:18) スマホで遊んでみました


大きな岩群を下降中(12:27)


前トム平を上部から(12:31)

12時36分。前トム平到着。
当初、ここで休憩しようかと考えていたが「熊臭」が漂っていたため、コマドリ沢分岐での休憩に変更。
何人かの方はここで何かを食べていたりしていたが、ヒグマが怖くないのかなぁ。それとも熊臭を知らないのか。

またまたナキウサギの生息地である岩礫地帯をトラバース。ずっと鳴き声が聞こえていて何度も探したが姿を発見することは出来ず。
あ〜ぁ。逢いたかった。

前トム平からコマドリ沢分岐に向かって下る(12:44)


コマドリ沢分岐に向けて沢伝いを下る(13:03)

13時17分。コマドリ沢分岐到着。
ここで栄養補給。

ここから約5分くらい下ると、キツい登り返しに差し掛かる。
ここへ来てこの急登は・・・・(TДT)

何とか踏ん張り稜線へ出る。
ここからは基本、登山口まで緩やかな下り。
後ろを振り返ると十勝連峰が逆光で良く見えない。
なのでペースを上げて早く登山口へ向かうことにする。
登りに多かったドロドロ道もこの頃には少しだけ乾いてきている様子。意外と歩きやすい。

カムイ天上ももうすぐ(14:18)


14時33分。カムイ天上通過。

下山は本当に早い。
天気はまた回復してきたようで晴れ間が。すると暑くなってきた。

15時18分。短縮コース登山口到着。


まずはずっと我慢していたトイレに駆け込む(笑)

そして靴を履き替えて、今回の山旅の基地であるオソウシ温泉鹿乃湯荘へと戻ったのであった。

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今年の最大の目標であり念願だったトムラウシ登山を無事に終えることが出来ました。天候悪化が心配だったため麓にある「オソウシ温泉鹿乃湯荘」さんに三連泊。一番天気のいい日にアタックしようというのが魂胆でした。
ありがたことにその願いが通じたのか(笑)、朝からピーカンの日が現れてその日にアタックをしました。

カムイ天上から上の景色には圧巻。絶景のデパートです。今まで出会ったことのない光景ばかりで心の中では何度も「なんじゃこりゃ。すげ〜よ〜。すげ〜よ〜」と叫んでいました。

そして何事もなく無事に下山出来ました。今は安堵感と達成感とそして素晴らしい数々の想い出でいっぱいです。いつものことなのですが、本当に本当にありがたいことです。

このトムラウシ山は自分が登った山の中でもとっても思い出深い山となりました。
いつの日か、旭岳からの縦走をしてみたい。そう思っています。

※急登と思える箇所は「コマドリ沢分岐〜前トム平」・「トムラウシ公園の登り返し」・「トムラウシ分岐〜山頂」の三ヶ所。あとは緩やかな道だと感じました。

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15.9.21
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