長野県 塩見岳
初めての南アルプス挑戦。兜のような雄姿が素晴らしく、登ってみたいという思いが日々強くなってみた山。塩見岳。
衝動的に今年の6月には早速、塩見小屋へ予約を入れたのでした。


7月16日

前日のPM10時20分に自宅を出発。首都高の山手トンネル手前から渋滞。海の日を含む三連休の週末。やっぱり甘くはなかった。
これでも高井戸の手前あたりからは、車の流れがよくなってきた。中央道に入ると交通量は多いものの渋滞するほどではなく、順調。
駒ヶ岳SAで少し休憩の後、松川ICを下りて大鹿村方向へ進む。このあたりは人影はおろか、民家の明かりに出会うこともなく、少々、怖がりながら?進む。
夕立神キャンプ場を目指し、そこを過ぎると鳥倉林道ゲートはもうすぐ。

AM3時過ぎ。鳥倉林道ゲート到着。駐車場はすでに満車状態。仕方なく手前に路駐する。ただし、ここはバスが通るため、片輪を路肩に乗り上げる状態で止める。

仮眠の後、AM5:23。鳥倉林道ゲート(越路)出発。ちなみにここの駐車場にはきれいな水洗トイレがあり、とっても便利。ありがたいことです。


ここからはアスファルトの道をゆっくりと登る。さすがは高地といった景色。朝日に照らされている山々に生える木々がとってもきれい。生き生きとしている。


AM6:09 鳥倉登山口出発。ちなみにここにも仮設トイレがある。最初から想像以上にきつい登り。シダ植物の生い茂る中。最初から飛ばさないようにゆっくりと登る。


そういえば鳥倉登山口〜三伏峠までの間には「1/10〜10/10」の表示がある。つまりこの間を10等分して「今、どこまで進んだか」を把握出来るのである。これって結構、助かるんです。気分的には。


AM7:11 三伏峠まで約2km約2時間の標識通過。ここまではどこにでもよくある登山道。
ここからは木製のハシゴも出現するが、どこにでもよくある登山道。中央アルプスが望めることが唯一、楽しい。

AM8:01 水場通過。ここの水は命の水。美味い。下山時はこの水に救われた。








AM9:03 三伏峠到着。鳥倉登山口から2時間54分。まあまあかな。ここで食事タイム。まい泉のカツサンド。登山にはちょうどいい大きさとボリューム。
ちなみにここの小屋にあるトイレは二種類。ボットン式のは100円。水洗式のは200円。
あっ、そうそう。ちょうどここで塩見小屋へ「今日、宿泊可能ですか」と電話をしているご夫婦がいらっしゃった。しかし返答は芳しくなく「寝床が食堂でよければ」との回答だったようだ。小さな小屋であるがゆえ。仕方がないだろう。


AM9:24 汗がひいたところで出発。

ここからは登ったり下ったりの道。一旦下って、また登る。するとそこは三伏山頂上。AM9:39着。ここからの景色は絶景。目指す塩見岳はもちろんのこと、名だたる南アルプスの山々が目の前に広がっているのである。テンションは最高潮に達する。

(塩見岳アップ)

やっと、目標が正面に見えたことで俄然、気合が入る。が、しかし三伏山からは下って登って下って登る。これが正直、非常に疲れる。しかも背丈ほどの高さのある草木の中を掻き分けながら進むのである。そのため、このあたりは半袖で歩くと間違いなく出血するだろう。


AM10:48 本谷山到着。ここから観る塩見岳はさらに近くなっている。でも気温もかなり上がってきているようで、とにかく暑い。水・水・水をくれ〜って叫びたくなる。なので持参した飲料水がドンドン減ってくる。


水分補給タイム終了後、すぐに出発。正面に塩見岳が見えることが唯一の救い。あとはただ、ただ暑い。


本谷山を過ぎると長い下りになる。ちょっと待って。ってことは帰りは登り返しが待っているのである。ぎゃ〜。聞いてないよ〜。出来るだけ下らないようにと願いつつ進む。

下り終えると今度は森林の中を歩く。非常に歩きやすくて木々が作ってくれた日陰が気持ちいい。
しばらく、こんな道を進むと水が渇れた川のようなところに出る。実はここからが急登になる。息はハアハア。喉はカラカラ。


そんな道を25分ほど登ると尾根伝いに出る。ここが塩見新道との合流地点(PM0:40)。このあたりでは同行者はバテバテ。顔色も悪い。そんなことでペースはかなり遅い。

塩見小屋はもうすぐであるが、同行者の足が前に進まないようである。このあたりからはでっかい間ノ岳が目の前に見えるのであるが、それさえも見る余裕はないだろう。別に急ぐこともないため気のままに進む。


PM1:10 塩見小屋到着。結局、鳥倉林道ゲートから7時間47分もかかった。まあ、この暑さを考えれば仕方のないことかもしれない。

受付では元気なおねえちゃん(元気ちゃんと呼びたい)が対応。夕朝飯付きで1人/8,000円。寝床は本館?の一番入口に近いところの二階。ここを二人で使用。やった〜。個室みたい。早く予約している場合は本館?で比較的にゆったりと寝ることが出来るようだ。我々は6月に予約していたから、こんなにいい場所だったのかもしれない。それから受付時に一人/500mlの水を無料でくれる。小屋の方が往復一時間かかる水場に取りにいっているらしい。足りない場合は500ml/100円で売ってくれる。これは非常にありがたい。

元々、塩見小屋は定員30名の予約制。本館?でゆったりと言っても定員オーバーになることも少なくないようだ。それもそのはず。山小屋の使命で急に泊まらせて欲しいという人を断ることは出来ないらしい。その場合は別棟にあるテントのような建物に押し込まれるようだ。ここでも足りない時には食堂。最悪は受付で寝るらしい。この日も例外ではなく受付で寝ている人もいた。

そうそう、上記の元気ちゃんは超〜働き者。彼女を見ているとこっちまで元気にさせてくれるような明るい娘。このご時世。とっても貴重なおねえちゃんだなぁ。

 
          塩見小屋                               小屋の中


           我々の寝床                          トイレブース(奥は仙丈ヶ岳)

トイレは小屋の外にあるトイレブースで用を足す。この中には簡易トイレが置いてあり、これに支給された凝固剤の入ったビニールを巻きつけ、それに用を足す。終わったら、空気を抜いて封をしてトイレブース隣にあるBOXに捨てる。後日、これらはヘリにて下界へ運ばれ処分される。ちなみに男性用はこのトイレブースの上に一旦上がって、少し下がった絶景ポイントにある。仙塩尾根や間ノ岳・北岳が目の前に見える。立ちションしながら絶景とは何とも贅沢なものである。ちなみにこの処理はフィルター濾過をして流しているとのことである。
これって自然を汚さない最良の方法のように思える。素晴らしい。

夕食はPM4:30から。我々は二巡目の5:00から。朝食はAM4:30から。どちらも食堂でいただく。親切にも時間になると元気ちゃんが呼んでくれるのである。
どちらも期待していなかったのであるが味はまあまあ。特に朝食の卵焼きあんかけがフワフワで美味かった。ただ、味噌汁の味がほとんどしないのが少し残念。

  
          夕食                                  朝食

そういえば夕食の前。日本山岳協会のお偉方らしき人物が周囲にいた人々に向かって、でっかい声を発しながら仙塩尾根を「あのバカ尾根」と言っていた。この人、バカ尾根の意味を知っているのかな?仙塩尾根と言えば絶景を拝める憧れの尾根なのに・・・・・。でもね。意味を知っている知らないというよりも、これだけ恩恵をいただいている大自然に対して「バカ」発言すること自体、とっても気分が悪いし腹立たしい。
その他にも小屋内で寝ている方がいるのにでっかい声で話をしたりとモラルのカケラもない方だった。

実はこの日。塩見小屋到着後、山頂にアタックしたのであった。しかし、天狗岩に近づくとともにガスがかかってきて山頂からの景色が望めないと判断。途中で下山したのであった。この時は残念に思ったが、結果オーライだった。この天気に感謝です。




7月17日

浅い眠りの中、熟睡は出来ず・・・・。AM4時に起床。
まずは塩見岳を観る。するとガスは全くかかっていない。っていうよりも空はピーカン。しかも風がほとんどない。山頂アタックには最もいい条件。

AM4:30より朝食。しっかりと食べて準備万端。

今朝は絶好の天気。自然に身体は山頂へと急がされる。

山頂へ向けての出発前。仙塩尾根からのぞかせた朝日がとってもきれいで身体に力がみなぎってきたようだった。


AM5:00 塩見小屋出発。朝日に当たる塩見岳がとっても清々しく美しい。
昨日、進んだ道を進む。急登斜面途中からの景色は素晴らしく、息切れする身体にパワーを与えてくれるよう。


AM5:20 その急登を登りきると天狗岩の岩場にくる。ここから巻いて登るように進む。巷で言われているほどきつくも怖くも難しくもない。ただ、補助的に何か(鎖やハシゴ)がないために中には不安に感じる人もいるかもしれない。それでも足元をしっかりと固めて、ゆっくり進めば雨や霧の時を除いては不安に思う必要はないと思う。






AM5:40 天狗岩と塩見岳との鞍部に出る。ここで一息。さあ、ここからさらにきつい岩場へトライ。
ここからは直登あり、つづら折りありの登り。ここもやはり補助的なものは一切なく、信じるものは自分の身体のみ。


天狗岩よりも傾斜がきつく高度感もあるとは思うが、基本は三点支持を守って慎重に登ればなんてことはないと思う。
携帯電話でこの岩場を動画撮影しながら楽しく進む。やっぱり、岩場は面白い。ひょっとして登山で最も楽しいのが、岩場登りかもしれないって思うことがある。





AM6:06 塩見岳西峰頂上到着。標高3,047m。隣の東峰の方が5m高いのではあるが、何故だかこちらの西峰に三角点がある。
ここからの景色は圧巻である。360度の大大大パノラマ。東峰方面には雲海から上半身だけ姿を現している富士山が・・・・。優美だよなぁ。
ここでゆっくりしたいのではあるが、最高峰はここから徒歩1〜2分の東峰。先を急ぐ。

(塩見岳西峰の山頂。 正面の山は仙丈ヶ岳)


(塩見岳西峰山頂から観た富士山。右の頂きは東峰の山頂)

AM6:14 塩見岳東峰頂上到着。標高3,052m。西峰で大パノラマを堪能しなかった分、ここで堪能。
富士山〜仙塩尾根〜間ノ岳・北岳〜甲斐駒ケ岳〜仙丈ヶ岳〜木曽駒ヶ岳〜悪沢・赤石岳などの南アルプスの山々。すごいなぁ〜。3,000m級の山はさすがにスケールがデカイ。圧巻です!!
結局、ここで20分も費やした。長い時間かけてせっかく出会えた絶景。脳裏に焼き付けたいって思うとついつい長居してしまう。

(塩見岳東峰山頂。右に見えるのが西峰)


(東峰からの富士山と蝙蝠岳)


(仙丈ヶ岳〜甲斐駒ケ岳〜北岳〜間ノ岳〜仙塩尾根)


(中央アルプスの山々)


(千枚岳〜荒川三山)

AM6:35 東峰出発。とってもとっても名残惜しいが下山開始。でもでも最後に西峰からもう一回、360度の大パノラマを堪能し下山。下りは急ぐ必要もないため、ゆっくり下りる。登山の基本は登り優先なのでこれから登って来られる方々に道を譲りながら。

AM7:50 塩見小屋到着。すでに腹が減ってしまったので持参していたランチパックを食べる。それから下山に備えてCCレモン500ml(400円)と湧水500ml(宿泊者のみ100円)を購入。

AM8:17 塩見小屋出発。最後に挨拶をしたが、元気ちゃんはやっぱり元気だ。

下りはやはり順調。っていうのも同行者は下りが得意。ほとんど休憩なしでも平気なのある。でも帰りもいやな「登り返し」がある。特に本谷山へ到着するまでは・・・・。案の定、登りになった途端にペースが落ちる。

AM8:31 塩見新道分岐通過。

AM9:52 本谷山通過。ここで大量の水分を補給。暑い〜。

AM10:43 三伏山到着。ここで塩見岳をじっくりと見納め。

(仙丈ヶ岳〜北岳〜間ノ岳〜塩見岳を望む)

三伏峠で持参していたレトルトカレーを食べる。美味い〜。

AM11:54 塩川小屋への分岐通過。

途中、水場で水分補給。超〜美味い。生き返るよ〜。




PM1:15 
 鳥倉登山口到着。


PM1:53 鳥倉林道ゲート到着。 終わったよ〜。

ホッとした気持ちと終わってしまった寂しさと疲れとが入り交じった複雑な心境。




帰路は大渋滞。駒ヶ岳SAで休憩。さらに諏訪湖SAで入浴。などで時間を潰しても渋滞はなかなか減らない。談合坂などでは長い仮眠もした結果。結局は自宅に着いたのが日付の変わったAM3:00になってしまった。この渋滞は登山より疲れたかもって思ってます。



今回、初めて南アルプスへ入らせていただきました。森林限界が高いせいか、標高3,000mを超えても濃緑の印象が強いです。
あくまでも個人的な印象ですが、北アルプスはスマートなイメージ。南アルプスはワイルドなイメージを持ちました。イメージの違いこそありますが、どちらも素晴らしい山々です。

今回、登らせていただいた塩見岳はとってもかっこいい風貌を持っています。特に三伏山から観た姿は「男らしい」って思いました。


今、冷静になってあの登山を振り返ると、山頂からの360度絶景を観た時に「地球ってすごい。ありがとう」って心の底から思ったのが一番の想い出となっています。
この時の気持ちを大切にして行きたいです。



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11.7.16〜17