鹿児島県 妙見温泉 おりはし旅館
今回の旅にあたって最も気合いを入れた旅館です(笑)。このおりはし旅館は明治12年創業。妙見で一番古い宿です。そのおりはし旅館の中でも本館については一日二組しか宿泊出来ません。この本館は大正時代からの建物で歴史ある文化財級のものです。そんな訳でこの本館にどうしても宿泊したくてかなり前に予約確保しました。またこの本館は非常に安価で宿泊出来ます(1人当たり二食付き/12,225円)。
当初、予約確認にあたって電話をいただいた方(女将さん?)は非常に品のある、かつハキハキした口調で好感が持てました。さらに本館は古くて部屋にトイレはありませんが、それでもよろしいですか?と親切なご対応をして下さいました。
電話の印象からかなり期待しての宿泊となりました。


ここで最初に言っていきたいのですが、従業員の方々は皆さん、親切で感じの良い方ばかりです。しかもマニュアル的でない自然で素朴な対応。非常に落ち着きました。

この日の天候は曇ったり、時には雨が落ちてきたりとはっきりしない天気。こんな日は早々と宿に入るのが一番。
国道223号線から天降川に架かる赤い橋を渡ったところが妙見温泉おりはし旅館。PM3:00着。入口からすごい雰囲気。高級旅館に来てしまったかのような。最初の印象は「日本庭園の中にある温泉宿」。門を入ってすぐのところに本館が建っている。ここの一階が受付となっており、名前を告げ、そのまま進み、一番奥にある駐車場にレンタカーを置く。ちなみに立ち寄り入浴受付なども全て本館の受付で行う。






<本館>
露天風呂のすぐ前に位置する。入口には大きな暖簾が掛かっている。中は当然木造。急な階段を登り右手一番奥が我々が宿泊した部屋。二間を悠々と使えるのである。一番奥の部屋が食事及びテレビを見る部屋。手前の部屋が布団を敷いていただく部屋となっていた。
とにかく風情がありすぎ〜。部屋は当然なのであるが、床も黒光りして清潔に保たれている。トイレは改装したと思われるが木の香りのするとっても居心地のいい空間。当然シャワートイレ付き。
昔の文豪になったような気分で過ごすことが出来た。非常に非常に気に入った。何故だか夜もぐっすりと眠ることが出来たし。やはり日本人には畳の部屋が合うのだろうか。
















<キズ湯>
本館からは一番遠い別館山水荘の中にある。
妙見温泉の中でもここおりはし旅館でしか味わうことのできないお湯。
脱衣所も新しく風情はないが清潔感はある。浴槽は二つ。
奥が竹の湯というもので結構熱い。体感温度は44℃くらいだろうか。ピリッとした肌ざわり。いかにも効きそうな感覚。お湯は薄黄色+薄緑。味は鉄臭。しかしそれほどきつい匂いではない。これだけでも十分にいいお湯である。

ここおりはし旅館のお湯は全ての浴槽について言えることなのだが熱い場合は備え付けの冷水でうめることができる。普通、うめると薄まると思ってしまうが、実はうめている水は冷水でなく冷泉なのである。なのでいくら水を入れても濃度の変わらない温泉を味わえるのである。
素晴らしい〜!!

一方、手前にある浴槽。自然湧出泉「キズ湯」はというと・・・。
素晴らしい〜!!!!!!気持ちいいのなんのって。温度は33℃と言われているがもう少し高い感じがした。お湯の色は透明であるがやや茶色に濁っている。普段は湯花がたくさん浮いているらしいが、この日は浴槽を掃除したばかりらしく、ほとんどなかった。お湯を飲んでみるとやや鉄臭。飲めないほどでは決してない。むしろ温泉の中では飲みやすい方かも。肌ざわりはというとサラサラまったり。詳しくいうとサラサラしているが皮膚にしっとりと浸透していくような感覚。温度といいこのお湯の質感といい身体に優しいのである。また30分くらい入っていると身体全体がか〜っと熱くなってくるのである。そしてその熱さが頭のてっぺんから抜ける。これって島根県小屋原温泉や千原温泉で覚えた感覚と同じ。ってことは名湯以外の何者でもない。極上湯です!!
結局、ここおりはし旅館滞在中でもっともお世話になったお湯がこのキズ湯。チェックアウト間際まで入っていた。とにかく心身がリラックスするお湯。今、すぐにでもまた入りたい〜。

個人的には超お気に入りのお湯です。!!!

余談であるが、高千穂峰登山の際に少々負傷した同行者の手がきれいに治ったのには驚いた。
















<露天風呂(えのきの湯)>
日帰り客も入る大きな露天風呂。我々の宿泊した本館の目の前にある。20人くらいは入れる大きさ。お湯はやはり薄黄色+薄緑。鉄臭がする。思いのほか温度は高め。43℃〜44℃くらいはありそうな気がする。我々は日帰り客が帰った後、PM5:30くらいにお湯を浴びる程度に浸かった。浴槽の中がややぬるっとしたのが気になった。しかし露天風呂ゆえに仕方がないことかもしれない。
また浴槽前の木々が視界を遮り、見通しはあまりよくない。

宿泊者として正直な感想を言えば、ここおりはし旅館にこの露天風呂は必要ないかもしれないなあって思えた。宿泊者専用内湯や露天風呂。そしてキズ湯。これだけあればほとんどのお客さんが満足してしまうのではないかなぁ。
逆に日帰り客用に仕方なく作ったということならば、色々な意味でよく考えたものだと感心してしまう。














<梅の湯(内湯)>
ここも日帰り客が入る風呂。比較的新しい脱衣所と浴槽。浴槽は二人も入ればいっぱい。泉質は露天風呂同様と思われる。かなり熱かった。しかしここも冷泉を入れることができる。
また面白いことに奥には打たせ湯がある。この浴槽は女性用のものと底でつながっているようだ。温度は38℃くらいだろうか。なので安心して湯に打たれることができる。











<本館宿泊者専用内湯>
本館と梅の湯の間に位置する。唯一、シャワーがある。ここで洗髪。ただ、シャワーの出があまりよくなく扇状に優しく噴射?するのが変わってて滑稽だった。
泉質は露天風呂や梅の湯同様と思われる。扇型をした浴槽。広々としていい。しかしお湯はやはり熱い。冷泉を入れて適温にして入る。
投入されている湯の量も豊富なので普通であれば、長く浸かっていたいお湯。しかしキズ湯に入りすぎたために・・・

ここも結局は就寝前に一度入っただけ。












<貸切露天風呂(藤の湯)>
山水荘の手前にある。ここのお湯は温めでまったり出来る。夜に入ったのであるが、空には鹿児島空港を離発着している飛行機が見えた。これって風情があるのだか、ないのだかよくわからないが面白い経験。
何となくお湯がきれいでない気がしたが、夜だったので暗くて確認は出来ず。










<食事>
夕食も朝食も部屋食。わざわざ仲居さんが運んでくれる。
夕食はPM6:00からにしていただいた。小魚の揚げたものが香ばしくて美味かった。それから鰻。実はそれほど好きではないのであるが身が厚くて皮の歯ごたえがあり良質の鰻なのだろう。
またこの日は芋焼酎「佐藤 白」というものを注文。日本酒党の自分としては美味しさがよくわからなかった(爆)。




朝食はAM8:00からにしていただく。烏骨鶏の卵が出て来たのには驚いた。毎日、生みたてを出しているとのことである。やっぱり濃厚な卵だった。

特別なものやびっくりしたものはなかったが、全体的に味付けはよく、また仲居さんが親切に話しかけてくださることもあってか、気分よく食べることが出来た。















朝はついつい早く起きてしまいました。妙見温泉の雰囲気を味わいたくって周辺を散歩しました。新緑の木々がみんな笑っているようでした。非常に気分がよかったです。
ここおりはし旅館も同様で敷地内にある木々がやはり笑っているようでした。ゆっくりゆっくり歩いて、この心地よさを噛みしめました。
眩しいほどの快晴の空に照らされ、新緑で覆われた山々に囲まれている。そして天然BGMとなっている天降川のせせらぎ。それらが相まって素晴らしい空間、場を作っています。私はそんな妙見温泉が大好きです。

言い忘れそうになりましたが(笑)、ここおりはし旅館も大好きです。従業員の方々は皆さん、すれ違うと必ず会釈をされます。また、我々の担当をして下さった仲居さんもとっても親切。宿全体には静寂な雰囲気が漂っています。また新旧のものや自然を上手く取り入れられていて、異空間にいる感じさえ受けます。キズ湯をはじめお湯も素晴らしい。鹿児島に来たら必ずここに宿泊したいって思います。


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09.5.4〜5.5(宿泊)