笠 ヶ 岳

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今年の7月三連休。ようやく笠ヶ岳に登る機会を得ました。以前、双六小屋から笠経由で下山しようと考えたことがありましたが、その時は雨で断念。今回も直前の天気予報では台風11号の影響で天気は良くないらしいです。

今年の東北の山旅も山頂付近はどこも真っ白。どうも今年の山旅は天気に恵まれないようです。

さあ、どうなることやら・・・・・。

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<一日目>
新穂高ビジターセンター 6:06→笠新道入口 7:07~19→標高1,920m(杓子平との中間点) 9:17→杓子平 11:31→抜戸岳からの道との合流点 13:15→抜戸岩 13:56→笠ヶ岳山荘 14:41

<二日目>
笠ヶ岳山荘 6:03→笠ヶ岳山頂 6:17

登り時間(休憩時間含む) 8時間48分

笠ヶ岳山頂 6:25→笠ヶ岳山荘 6:36~49→抜戸岩 7:22→この間、天気回復を願って何度も立ち止まる→抜戸岳との分岐 8:07~26→杓子平 9:25~35→標高1,920m(杓子平との中間点) 11:18→笠新道入口 12:39→新穂高ビジターセンター 13:34

下り時間(休憩時間含む) 7時間09分


合計時間(休憩時間を含む) 15時間57分

※強風・強雨、またガスが晴れることを期待しての停滞などが多いため、所要時間は参考外かと思います。

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<一日目>
毎日旅行のあるぺん号(3列シート)に都庁前から乗車。やはり3列シートは快適。幅広で背もたれも倒せるし、そこそこ眠ることが出来る。

新穂高温泉ロープウェイ駅に到着するもすでに雨。見上げても雲が厚そう。
しかし天気予報では時間が経つに連れて回復傾向とのこと。我慢・我慢。

雨が落ちてくる中、6時6分。新穂高ビジターセンター出発。
晴れていれば見えるこれから向かう抜戸岳~笠ヶ岳への稜線は全く見えない(見える気配もない)。

新穂高ビジターセンター出発(6:06) 笠は全く見えない

車でも通ることの出来る(関係車両は)左俣林道を進む。

お助け風(6:39)

途中にある風穴などで涼みながら7時7分。笠新道入口に到着。

笠新道入口

雨は激しくなってくる一方。
ここにある水場で今日の水分を空のペットボトルにたくさん詰める。
この先に水場はないため多目に。

7時19分。いよいよ、笠新道を登り始める。最初の目標は標高2,460mの杓子平。
最初から急登なのだが、道が整備されているのか、意外とのぼりやすい。いい塩梅にステップが置かれているのか、体への負担は少ない。

この笠新道は杓子平までの登りについては所々に「ここは標高●●mです」の標識が置かれているため、自分の位置を把握しやすい。特に今日のようなガス一色の日は。

標高1,700m通過(8:33)

相変わらず登りやすい急登。
しかししかし。レインウェアを着ているため、暑い。
ちなみにこの雨で4月に買ったばかりのデジカメが動かなくなった(泣)。水没か?
替わりに今まで長く使っていたカメラを同行者が持参していたため、それを使用。助かった~。でもレンズには水滴がついて上手く撮れない。

笠新道を登る(9:06)

9時17分。杓子平との中間点と書かれている1,920m標識通過。
ここから杓子平まで一時間半と書いてあるが普通の足だと絶対に無理。トレランじゃないんだしさぁ。


ここから先は樹林帯を抜ける箇所も多々ある。実はそこがなかなか難儀だった。風が強く、また時折強さを増す雨も相まって停滞しようかと迷ったのも確か。

後ろには見えるはずの槍穂も全く・・・・(泣)。

苦行だね。

また、この日すれ違った方は笠ヶ岳山荘までの間でたったの二名。台風の影響だろう。

するとようやくピークっぽい場所へ着き、そこを一旦、下るとそこは杓子平。11時31分着。

杓子平到着(11:31)

本当は杓子平のカールとその奥にそびえ立つ笠ヶ岳が見えるはずなのに。
真っ~白。
いまあるのは強風と沢の音。あとはただ真っ~白(笑)。

ここで少し栄養補給。

ここからの道はカール横を進むため天国のような場所のはずだか、今日は川(笑)。
歩道には川のごとく、場所によっては滝のごとく水が流れている。我々はそこを進む以外に方法はない。

川と化した登山道を進む(11:52)

そんな道を過ぎると急登に差し掛かる。この急登がなかなか手強い。息が切れる。同行者も杓子平下よりもこっちの方がきついと言っていた。

2ヵ所の雪渓を渡り、岩ゴロゴロ道を登る。道自体は登りやすい。ザイテングラードを簡単にしたような道。

登山道を塞ぐように流れる水(12:12)


こんな雪渓をトラバース(12:13)


雪渓横を登る(12:51)


この急登を登り切ると・・・稜線だ~(12:57)

13時15分。
稜線上に出て少し下るとそこが抜戸岳からの道との分岐点。標高は約2,750m。
急登がやっと終わったよ~。
苦行だよ。全く。

抜戸岳からの道との合流点(13:15)

ここからは稜線を進み、笠ヶ岳山荘まで進む。
アップダウンのある稜線。危険な箇所はないが、穂高側に切れている細い尾根が数ヶ所あったため、そこは慎重に。

稜線を進む(13:23)

13時56分。抜戸岩通過。
ガスが濃くて近くに寄るまでそれがわからなかった。
この岩。何だか笠ヶ岳へのゲートのような気がした。

抜戸岩通過(13:56)

そしてようやく笠ヶ岳山荘下の幕営場所を通過。
岩には「ここからすぐ」とか書いてあるけどすぐではない。

大きな岩群を次々と飛び乗るように進む。
最後に長い雪渓を越えて、少しだけ登るとそこが笠ヶ岳山荘。14時41分到着。


もちろんこの日の笠ヶ岳山頂アタックは諦めて明日にする。

早速、受付。
同行者が予約しておいてくれたので心なしかスムーズに事が進んだような気がした。

まずは濡れたものを支給されたピニールに入れてから玄関を跨ぐこと(これは中の廊下や布団を濡らさないためでよく乾く乾燥室へ運んでしまえば用はなし)。
悴んだ手をストーブで温めてから受付表に記入すること(笑)。
部屋へは自分のペースで上がっていい。
など配慮がされていていい山小屋です。

スタッフは皆さん若い。
小屋の中も大変きれいにされている。
また、食堂兼談話室も巻きストーブがあり、落ち着ける環境。
トイレはボットンであるが、臭いもあまりなく大変きれいにされている。

我々の寝床は二階の八人部屋を四人で使用。
百名山完登を目指す昨日から連泊されているご夫婦と相部屋。
山の話を21時の消灯前までたくさんさせてもらいました。
またこの日は一人ひとつの布団で寝ることが出来て快適。

あとで小屋のお兄ちゃんに聞いてみると「どこかの山小屋のようにひとつの布団に二人~三人なんて極力させません」と言っていた。定員オーバーの際には食堂など出来るだけ空いたスペースを利用して快適に寝てもらうように心掛けている様子。




食事は朝も夕も5時から。豪華さはないが、この場所でこの食事なら文句なし。暑い時期。夕飯で出されるおそばはありがたい存在だろう。
またお弁当は酢飯。暑い夏には大変ありがたい。




空いているせいもあるが快適な山小屋だと思った。


<二日目>
朝は4時頃に起床。早速、窓の外を覗くが真~っ白。風は強くなさそうだが。
そんな天気なのでご来光は諦めてパッキングを開始。

5時の朝食を済ませると空身で山頂に向かうことにする。笠ヶ岳山荘 6:03発。
相変わらず真っ白でどこを登っているかよくわからない。

笠ヶ岳山頂へ向けて出発(6:03)


山頂へ向けての登り

山頂への登りはずっとガレ場。浮石も多い。そんな道をしばらく登ると祠が見える。その祠を見ながら「←笠ヶ岳頂上」標識の通りに直角に左折。数十m進むとそこが笠ヶ岳山頂。6:17着。




山頂付近に人と三角点が見える



山頂からの景色は画像の通り(泣)。ただ風がないのが幸いである。
この厚い雲の中、長く滞在していても仕方がないので即座に下山決定。
笠ヶ岳山頂発 6:25→笠ヶ岳山荘着 6:36。

笠ヶ岳山荘から新穂高までトイレはないので山荘トイレで最後の一滴まで(笑)。

6時49分。笠ヶ岳山荘出発。
下ってすぐに雪渓を渡る。朝早いせいもあってか、昨日よりも凍っている箇所が増えている。
なので黒い箇所(これが凍っている目安)を避けるように進む。
ビックリしたのは前を歩く男性は簡易アイゼンを付けていた。そこまでは・・・・と思えたが人それぞれなので。

山荘下の意外と長い雪渓

昨日は「明日は晴れるだろう」と思っていた下山はこのガスのおかげで気が重い。
しかし徐々にではあるが視界がよくなってきているのが救い。

登りは真っ白だった抜戸岩通過。よく見ると最悪の場合、避難場所になりそうな箇所。ビバーク可能かも。

同行者が撮影した抜戸岩を進む自分(7:22)

さらに進む。

すると笠ヶ岳方面、抜戸岳方面、そして杓子平方面の視界が広がったのであった。
さらに槍ヶ岳の穂先も一瞬ではあったが顔を覗かせてくれた。

北西尾根下方面を見る(7:52)


進行方向に見える抜戸岳もくっきり(7:53)


杓子平方面も見えてきた(7:53)


今、歩んできた抜戸岩方面を振り返る(7:58)

この光景は笠新道と秩父平へ向かう道の分岐点まで続いた。
せっかくの晴れ間なので歩みを止めてゆっくりゆっくり進んだのであった。
最後は笠新道に入る稜線上でも行動食を食べたりしながら景色を楽しんだが、しかしそれも長くは続かす、ガスによって閉ざされてしまった。

笠ヶ岳方面を見るが姿は現さず(8:16)

稜線上から杓子平を下る道の視界はなかなか良好。

杓子平へ向けての下り(8:32)

やっと雷鳥ちゃんにも逢うことが出来た。特に間違って雪渓に入ってしまい滑り落ちそうな小鳥を心配そうに見つめる親鳥の姿が印象的だった。



雷鳥の親子

また昨日は滝のようだった登山道も今日は小川に変わっていた。

杓子平への下り(8:48)


登りでは見ることの出来なかった稜線への道を振り返る(8:58)


もうすぐ杓子平だけどガスってきた~(9:12)

しかし、笠ヶ岳方面は視界が悪く、結局、杓子平の全容を見ることは出来なかった。
9時25分。杓子平標識到着。
周りはとうとうガスだらけ(泣)。

ここからは樹林帯を下ることになる。出来れば杓子平から笠ヶ岳の全容を見たかった。

杓子平から下る道からも穂高の山々の中腹まではきれいに見えるのであるが・・・・。稜線は全く見えず。

笠新道より新穂高方面を望む(10:19)


笠新道ってこんな道だったんだ(笑)(10:48)


晴れていれば槍穂が見えるはず(10:50)


笠新道っていい道かも(11:07)

11時18分。笠新道入口~杓子平の中間点通過。

どんどん下っていくと昨日の登り時に強い雨風にさらされ、一時は下山も考えたことが遠い記憶のように思い出された。何だか懐かしい記憶に変わっている。

そして1,450m付近を通過していると。
とうとう雨が落ちてきたのであった。雨脚は強くなる一方。ヤバし。

そして12時39分。
笠新道入口に到着。長い長い下りも終わった~。
早速、水場で顔を洗う。生き返るようだった。

笠新道終了(12:39)

あとはゆっくりのんびり車でも走ることの出来る道を進む。
途中、冷たい風を運んでくれる風穴の前を通るのがスゴく気持ちいい。

しかしあまりに雨が強いので傘をさしながら歩く。

13時34分。新穂高バスセンター到着。

今日の宿泊先である平湯温泉行きの濃飛バスが約10分後に出発。
濡れたレインウェアを急いで脱ぎ、傘をたたんで乗車。

バスの中は寒いくらいクーラーが利いていた。

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今年の目標のひとつであった笠ヶ岳に無事に登ることが出来ました。
自分は幸いにも元高校野球球児で当時は吐くまで練習をした経験がいまになって生かされているようです(笑)。正直、あまり疲れませんでした。自分ひとりなら日帰りも強行してみたいです。

しかし同行者は運動素人。今回の笠新道はとっても心配でしたが無事にクリアしました。自分でも今までにない体調管理やイメトレを行ったそうです。本当によく頑張ったと思います。
今回は天候に恵まれませんでしたが、笠ヶ岳には「晴れた日に」また登りたいと言っています。

とにもかくにも無事に登頂出来たことは大変嬉しく、またありがたく思ってます。

自分もぜひぜひ再度登ってみたいです。その時は登りか下りかどちらかは鏡平経由で進みたいと思います。
(今回は秩父平付近に大きな雪渓があり、要ピッケルだったため断念しました)
あ~ぁ。槍穂と笠の絶景が見たいよ~。

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15.7.18~19
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