飯豊連峰(本山・大日岳)
一日目
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東北の山旅。第三弾は飯豊連峰です。個人的にはこの山が日本百名山の中でも最難関ではないかと考えていました。特に大日岳へ行くためには普通の脚だと二泊三日の行程が必要です。しかも食料や寝具も全て担いで上がらないといけないため、ザックが重いのなんのって。
特にこの八月。標高が高くないため、暑さと上手く付き合わないといけません。

急登は曇って稜線は晴れ。そんな勝手な願いは通じるのでしょうか(笑)。お盆休み前からずっと天気予報とニラメッコ。米沢のシティホテルを二泊、予約して二日目の本山〜大日岳の稜線歩きにもっとも良い天気になるよう標準を合わせての登山としました。

天気によっては一泊だけでとも考えていましたが台風の影響で案の定、二泊を要することになり、8/12からの登山となりました。

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一日目
大日杉コース登山口(大日杉小屋前) 5:04→ザンゲ坂(下) 5:29→長之助清水 6:16→御田 6:26→だまし地蔵 7:51→地蔵岳 8:33→目洗清水(上) 9:40→御坪 10:33→切合小屋 (12:08〜12:29)→姥権現 13:33→御秘所 13:40→御前坂 14:06→途中、本山小屋の水場で水汲み→本山小屋 15:04

この日の行程は大日杉コース登山口→本山小屋まで

合計時間(休憩・食事・着替・水汲み時間を全て含む) 9時間00分


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二日目
本山小屋 6:06→飯豊本山山頂 6:22→御西小屋 7:32→大日岳山頂 (8:56〜10:02)→花や景色を楽しみながらの超ゆっくりペース→御西小屋 11:37(長居しました)→花や景色を楽しみながらの超ゆっくりペース→飯豊本山山頂 13:14(長居しました)→本山小屋 13:58

この日の行程は本山小屋→大日岳→本山小屋のピストン 

合計時間(食事・休憩・佇み(笑)時間など全て含む) 7時間52分 


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三日目
本山小屋 5:57→姥権現 6:49→切合小屋 (7:40〜8:02)→御坪9:01→地蔵岳 10:35→長之助清水(美味い水を汲みました) 12:14→大日杉コース登山口(大日杉小屋前) 13:14

この日の行程は本山小屋→大日杉コース登山口(大日杉小屋前)までの下山

合計時間(休憩時間含む) 7時間17分

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一日目(8/12)

AM5:04大日杉コース登山口出発。
なっなんと最初から急登 。登り始めで心身が慣れていないとの荷物が重いため、ダメージが大きい。
※大日岳までの間でこのあたりと御前坂の傾斜がもっともきつく感じた。

ずっと急登のまま、しばらく登ると新しい鎖が備え付けられたザンゲ坂に到着。傾斜はかなりあるが、ステップも切ってあったり岩もしっかりしており鎖が無くても三点支持でゆっくり登れば問題ない。ただ下りは鎖があった方がいいかも。

    大日杉コース登山口の登山届受付建屋                登山開始(AM5:04)


            いきなりの急登                          いきなりの急登


ザンゲ坂を上から見る(実際はもっと傾斜がきつい)

ザンゲ坂を過ぎても急登は相変わらず。

AM6:16。長之助清水到着。
水はたっぷり持参したので今はパス。でも冷たくて美味しい(下山時に汲みました)。

AM6:16 長之助清水到着

この辺りからようやく傾斜がやや緩やかになってきたような。
ものすごい大きな杉の木が登場するとそこは御田。

樹林帯をまだまだ登る。

樹林帯を登る(AM7:17)


AM7:51。やっとやっとだまし地蔵到着。
ここは広場のような場所だけで標識やお地蔵さんのようなものもない。ここにきて初めて「飯豊本山」を肉眼で捉えることが出来る。まだまだ雪渓の残るきれいな山である。

だまし地蔵から見た地蔵岳(右手前)と飯豊本山(左奥の雲に隠れた山)


ここからまたまた急登。なかなか効く登り。

AM8:33。地蔵岳到着。
山頂らしさは全くなく単なる標識のある広場。ここでしばし休憩。正直、かなり疲れている。リュックサックの重さで肩は痛いし、体力が普段の倍くらい奪われていくよう。


ここからは切合まではアップダウンの繰り返しで徐々に高度を上げていく。おまけに飯豊本山方面の展望は樹林に遮られてあまり良くない。
これらがさらに体に堪えてくる。

本山を見ながらの下り(AM8:45)


尾根を進むも視界悪し(AM9:22)

AM9:40。目洗清水通過。
水場は登山道から下ったところにある?

登山道自体は歩きやすいのであるが、とにかく疲れる。

すると、とうとう雨が。しかも段々と強くなってくる。まずは傘で凌ぎながら進む。

こうなると雨が落ちるのも時間の問題(AM10:45)


切合手前の川? 顔を洗うと生き帰る(AM11:37)

切合手前の川のような箇所を過ぎると雪渓が現れる。
実は少し前にすれ違った登山ガイドさんに「雪渓は巻きなさい。それから出来れば今日のうちに本山小屋まで行きなさい。絶景が拝めるよ。」と言われていたので迷わず回避。何を隠そう、このガイドさんのおかげで楽しい山旅が出来たのである。ちなみにこのガイドさんは13日〜15日の3日間。切合小屋二泊で大日岳までツアー客を連れて行った方です。見るからに優しそうで言い方はいいかわかりませんが仏様のような高貴な雰囲気を持った方です。この方のツアーなら参加してみたい。本気でそう思いました(下山時も御秘所付近でバッタリすれ違い、挨拶をしました)。

そのため、迷うことなく雪渓を巻く。ちなみにこの雪渓付近から切合小屋まで黒くて太いホースが繋がっており、ひょっとするとあの切合小屋の水はこれかも。

切合手前の雪渓 もちろん巻く(AM11:52)


雪渓を巻いている途中から見た雲に隠れる本山〜御西付近(AM11:57)


雪渓を超えたところから見た切合小屋付近&奥に見える本山(AM11:59)

PM0:08。切合小屋到着。
雨足は段々と強くなってくる。一瞬、今日はここで泊まろうかとも考えたが同行者が行く気満々。

切合小屋到着(PM0:08)

さすがにレインウエアを着用して久しぶりの雨の山旅スタート。
もちろん、周りの景色は真っ白
最初からなかなかの急登。雪渓横を通り抜け高度を上げる。周りが真っ白の中、何だかわからずにとにかく登る。肩にめり込みそうなほど重いザックと相まって、まるで苦行みたい(笑)。

雪渓横を登る(PM0:42)

急登が終わると急な下り。せっかく登ったのにもったいないオバケ〜。

鞍部に着くとそこは姥権現。その昔、飯豊が女人禁制だった頃、息子を探しにきたお母さんが石にされてしまったという言い伝えがあるらしい。
確かに姥権現の石はおばあさんの顔をしているが、これは誰かが彫ったのか自然物なのかはわからない。

姥権現(PM1:33)

ここから先、このコース最大の難所と言われている岩場の御秘所に差し掛かる。危険箇所には錆びた(笑)鎖も備え付けられているため安心だが、この時は雨。岩が意外と滑る。普段より慎重に進む。同行者は滑る岩に少々腰が引け気味。
これも長くはないため数分で通過。一見、ナイフリッジのように見えるが登り方向左側下には草木が茂っており、仮に落ちたとしても数百メートルも落ちるようなことはなさそう。逆に右側ならば一瞬であの世かな(笑)。

三点支持さえしっかりやればきっと大丈夫でしょう。

御秘所通過中(PM1:46)


これが終わると御前坂に差しかかる。この坂はかなりの急登。岩ゴロゴロの息ハアハアの道。とてもではないが一気に上がることは出来ず、息整え休憩が必要。

途中、視界が一瞬、開けて本山〜御西へ向かう稜線が見え隠れしていた。この景色にちょっぴり感激。
しかし、基本は真っ白&強風。

御前坂通過中、御西への稜線が見え始める(PM2:31)


御前坂通過中 画像ではわかりづらいがかなりの急登(PM2:32)

ようやくピークらしき場所にたどり着くと本山小屋0.3km、水場0.1kmの標識。さっきすれ違ったおじさまに「本山小屋に行く前に汲んでいったほうがいいよ」とのアドバイスをいただいていたために水汲みに行く。登山道を右に進み、急斜面を下ると三ヵ所から水が流れている。ここで4リットルほど汲ませてもらう。もちろん、この水は飲めるし(本山小屋管理人さんに確認済)美味しい水である。

               水 場                         水場にはこんな道を下ってくる

水を汲み終わったらあとは本山小屋へ。まだまだ登る。

するとガスって視界不良だった前方に突如、小屋とトイレ小屋が現れる。正直、びっくりした。

        ようやく本山小屋が見えた                         本山小屋

PM3:04 本山小屋到着。

まずは受付。濡れたものはよく水を切って決して床を濡らさないように言われた(それは小屋がすぐにカビてしまうからです)。
この日は二階の一番奥のスペース。結構、ゆったりと使わせてもらえた。

        この日の我々の寝床&食事場                      小屋二階の様子

ここで本山小屋のルールを書きたいと思います。面倒かなと思いきやよく考えると全て理にかなっていますし、皆さんが快適に過ごすには当たり前のことばかりです。
頼もしいのが管理人さん。飯豊連峰を自分の庭のように知り尽くしているので飯豊に関しての質問であれば何にでも答えてくれると思います。

・料金は一人/2,000円。
・消灯は20時(室内灯な一切ないので日没とともに真っ暗)。起床は4時(これより前にトイレ以外では起きてはいけない)。
・基本的に食事、酒などの提供は一切ないが「管理人の所有物を譲ってもらう」という名目では売ってくれる。一応、メニューもある。ちなみにアサヒスーパードライ350mlは1,000円也。缶も持ち帰り。でも雪渓の氷でキンキンに冷えている。
・寝具は全て自分で用意しなければならないが、持ってこないおバカさんのために寝袋1000円、マット100円で貸してはくれる。でも数に限りはある様子。
・トイレは最初に使う時だけ100円を料金箱に投入。後は何回使ってもOK。これはあくまでも宿泊者の場合のみ。また扉はきっちりと締めて使用時は必ずロックをすること(自分もロックをしていない人の扉を開けてしまいまずいことに(笑))
・食事の準備は小屋内にある金属製のお盆のようなものの上で行う。そうでないとこぼしたら大変。すぐにカビちゃうらしいし、二階でこぼすと一階の人に迷惑がかかる。

などなど・・・・・・



さっ、明日は晴れ時々曇の予報。楽園ロードをのんびりと歩くことが出来るのか。ワクワクした気持ちで床につきました。


夕暮れ時に視界が良好になった本山〜大日岳の稜線



              
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14.8.12〜14
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