東鳴子温泉 旅館大沼

PM2時すぎ。「旅館大沼」到着。この旅館、温泉教授と名乗る松田忠徳が賞賛している旅館である。中へ入るとまずは玄関奥のソファーに通されここで受付をする。住所、名前を書いている間に抹茶と甘菓子が運ばれてくる。続いて女将さんから直々に挨拶。最初からなかなかのおもてなしである。ちなみに今回予約しておいたのは一泊夕食付き(湯治部屋)で1人7,665円。この価格を覚えておいていただきたいです!そして部屋へと案内される。二階の部屋だった。部屋の中へ入ると思っていたよりずっと綺麗。6畳一間、洗面所、トイレは共同(ウォシュレット付)。テレビ、冷蔵庫付き。

仲居さんより「土曜で混むので今すぐに宿泊者専用露天風呂へ行きませんか?」との話をもらい、早速向かうことにする。用意してくれた下駄を履き、玄関で送迎用の車に乗り2〜3分行ったところに木造の門がある。そこが入口のようだ。場所は克明に説明出来ますが差し控えます(笑)。この露天風呂、「母里の湯」と呼ばれており先代主人の手作りとのこと。従業員の方が30分後に迎えに来ますとの言葉を残し宿へ帰っていった。ちなみに我々がこの日、初めての客だったらしくまだお湯が温いようで湯のバルブを全開にしていってくれた。そのおかげでドバドバと源泉が注がれておりすごいことになっていた。ラッキー。

湯船はなかなか大きい。10人ぐらいは入れそう。森の中にある露天風呂といった雰囲気である。お湯の色は比較的鮮やかな黄色がかっている。早速湯船に浸かる。うぉ〜。気持ちいい〜。温度もちょうどよく長湯できそうな温度である。お湯の匂いは石の香りがプンプン。貸切でゆったりでき、しかも森の中にいる感覚。お湯も気持ちいい。最高である。脱衣所に掛かっている時計の時間があっという間に5分、また5分と過ぎていく。30分じゃ短いよ〜。そしてとうとう時間になりお名残惜しいが上がる。この露天風呂。素晴らしいです!

服を着ていると脱衣所の上に電話が置いてあるのに気づく。何かあったら宿に電話出きるようになっている。いい気遣いだよなぁ。脱衣所を出るとお迎えの車が来ていた。帰りの車の中、運転されている従業員の方と話したが源泉口は隣のニューホテルあらおの裏にある山にあり、そこから引っ張ってきているとのこと。

しばらく休憩の後、四階にある陽の湯、陰の湯へ。まずは「陰の湯」に入る。湯船は二人用の大きさ。ここは別名、薬石湯と呼ばれており薬石を一つずつ浴槽に埋め込んでいる。お湯からはモール臭のような匂いがする。温度は熱い。しかし入れないほどではない。湯船には灰色の湯の花が舞っていた。15分くらい浸かってさっさと上がる。

続いて「陽の湯」へ。この湯船も小さく二人用程度。この湯は備長炭が入っているため湯の色が真っ黒。しかし何となく泉質がまろやかになっている気がする。またお湯自体もまったりしており湯の花も沢山舞っている。お湯の匂いは「墨汁の匂い+モール臭」が若干であるがする。温度はちょうどいい。結構、気持ちよく気に入った。

部屋に戻り、横になっていたらいつの間にか寝てしまった。PM6時過ぎ、夕食が運ばれてきた。宿泊料金を考えるとなかなか豪華である。しかも部屋食。どれも丁寧に作られた感があり美味い。十分に満足した。

「露天風呂(石割の湯)」。泉質は始めに入った母里の湯と同じ。温度は温くて自分にはちょうどいいが源泉口から出てくるお湯が少ないせいか何となく新鮮さがない気がした。やはり一番最初に極上湯に入ってしまったせいか感動が無くなってきている。

「家族風呂」。名前は家族であるが夫婦風呂と呼んだ方が良さそう。かなり小さい。二人入ればいっぱいになる。温度は少し熱め。ただ蛇口をひねれば水が出てくるため調整可能ではあるが出来るだけ源泉を楽しむため我慢した。湯の色は暗くてよくわからなかった。

混浴の「薬師千人風呂」。扉を開けるといきなりモール臭がした。名前のとおり千人も入れるわけがないが(笑)30人くらいは入れそう。湯船の底から源泉が出ているようだ。温度もちょうどよく長湯ができる。泉質は母里の湯同様。結構、このお湯は気に入った。お湯自体も新鮮な気がした。浴槽からはドバドバとお湯がこぼれていることからかなりの量のお湯が注がれているのだろう。またこのお風呂、天女の絵が壁や浴槽に描かれている。仏画家の高橋典子という方が描いたらしい。

「アロマテラピーふかし浴」。ここは温泉熱を利用してオンドルのように床を暖め、そこに横になり身体を温めながら部屋に充満している芳香剤の匂いを嗅ぐ。まあ、そんなところです(笑)。

チェックアウトの際、ご主人が「これはお向かいのパン屋さんで焼いた焼き立てのパンです」と言ってアンパンを二つ、下さった。すると女将さんが「お腹がすいたでしょ?」だってさ。我々が朝飯を食べていないことを知っていてのことだろうが、こんな気遣いをして下さった。

この旅館大沼は最高の旅館だと思いました。今まで沢山の旅館、ホテルに宿泊しましたがこの旅館はさりげない気遣いが多く、素晴らしい。決して恩着せがましいサービス(商売っ気剥き出しのサービス)はなく本当に気兼ねなく泊まれる旅館である。儲け主義である前にとにかくお客さんにゆっくりしてもらおうという姿勢が感じられた。おまけにお湯は最高だし料金は安いし。同行者は鳴子に来たら、またこの大沼に絶対泊まりたいと言っている。

※同行者からもらった女湯の画像をアップしておきます。
07.3.17〜18(宿泊)
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