宮城県 東鳴子温泉 まるみや旅館
山には雪が降る季節となりました。こうなると温泉しかありません。激安の高速バスを利用しての温泉探訪。交通手段が激安であれば当然、宿も安くないと意味がありません。
一泊ひとり4,000円(食事なし)の宿。完全自炊の宿。まるみや旅館へ宿泊してきました。


このまるみやさんは基本的に日帰り入浴はお断りしている。しかしその理由をご主人から教えていただくと何とも納得。
日帰り客に入れ替わり立ち代り入って来られると「本当に湯治をされている方々がゆっくりと湯治が出来ない」とのことだった。そういえば我々が宿泊した日にも歩くのに少し苦労されている白髪のおじいさんが湯治をされていた。
仙台駅にはAM6:30着。日曜の朝だからだろうか、人通りが少ない。
AM7:00から開いた駅中の店でモーニングを食べた。スキー場でよく食べるのと同じ味の朝カレーとコーヒーで500円。
22番乗り場より、AM8:20発の鳴子温泉行き宮城交通の高速バスに乗る。乗客は少ない。っていうよりも我々とおじさんの計3名。廃止路線にならないか心配してしまった。仙台宮城ICから東北道で古川ICへ。そこからは国道47号を西へ。

東鳴子温泉赤湯停留所にはAM9:40分頃に着いてしまった。仙台では降っていなかった雨が、ここ鳴子では本降り。チェックイン時間の10時にはまだ少々早いが、寒いし濡れるしなので、まるみや旅館にお邪魔することに。


木造二階建ての古〜い旅館である。いかにも湯治宿といった雰囲気。玄関のガラス戸を開けると優しそうなご主人がすぐに出迎えて下さった。早速、部屋まで案内される。奥の1号室であった。この部屋まで着く間にお風呂の場所や自炊場の使い方や設備などの説明を丁寧にして下さった。

部屋は六畳一間でダイニング付き。食器類は一通り揃っている。当然、布団の上げ下ろしは自分でやる。部屋の真ん中にはこの季節には有り難いこたつ。そしてテレビはコイン投下式で二時間/100円。トイレは共同でシャワートイレはなし。
この宿の印象は「古〜い宿ではあるがきれいにされている」。廊下を歩いていてもゴミらしきものは落ちていないし、トイレに至ってはかなり古くて「和式便器に洋式便器を置いたもの」がある。若い人にはこういったものはきついかもしれないが、清掃が隅々まで行き届いている。
こういったことからも温泉マニアの間では人気の高い温泉宿であることにナットクさせられる。




<男女別風呂>
こ主人に「味噌汁のようなお湯」を楽しみにしてきました。といったら、「残念〜。お客さんが帰ったから今日、お湯を全部流して掃除しちゃったんです」とのこと。確かに残念だが、そもそも味噌汁のような茶色のものは温泉成分の鉄分が酸化して沈殿しているもの。であれば、今のお湯は新鮮なお湯そのものであり、それもそれで有り難いこと。

脱衣所からは階段を雛段下ったところに浴槽はある。カランが二つ。シャワーはない。



ここ浴槽は竹筒のようなものから掛け流されているまるみや旅館の独自源泉と東鳴子の共同源泉とのブレンド湯で満たされている。この独自源泉は温めで鉄臭が強い。
到着当初のお湯の色はすまし汁のような少しだけ白く濁ったお湯。帰るころのお湯は黄色のような黄緑色のような茶色のような複雑な色に変化していた。
お湯の匂いは「時には若干のアブラ臭」、時には「鉄臭」、時には「甘い温泉臭」。時間によって変化している。



          まるみや独自源泉                          赤湯源泉

肌触りは入浴中はベタつき感。上がるとサラサラ。時には入浴中もサラサラ。これも時間によって変化している。
温度は42℃〜43℃くらいだろうか。個人差があるとは思うが、この温度がこの日のお湯としては適温のような気がする。これより熱いと長くは浸かっていられないし、これより温いと今の季節。すぐに湯冷めをしてしまう。ちなみにこのお湯に10分くらい浸かって部屋に戻るとちょうどいいくらいに身体が温まっているのであった。

はっきり言ってこのお湯は極上湯です!!!最初はパワフルな印象を受けたお湯ではあるが、身体への刺激は思いの外なく、むしろまろやか。一旦湯に浸かるとなぜだか出たくなくなってしまうのである。おまけに一旦上がってしばらくするとまたこのお湯に浸かりたくなってしまう。最初はクセのあるお湯かとも思ったが、帰る頃には「良いところ取り」したクセのないお湯ではないかと思えて仕方がなかった。匂い・温度・肌触り。どれをとってもいい塩梅なのである。これって名湯以外の何者でもないと思う。




<混浴風呂>
ここは脱衣所からしてとってもきれいにされている。カラン、シャワーやシャンプーなどもある。頭を洗いたい場合はここで済ますのがよい。
お湯は赤湯源泉でほぼ透明ではあるが少しだけ黄色に濁っていた。温度は43℃〜44℃くらいはありそうで長くは浸かっていられない。が非常にスッキリ・サッパリしたお湯。味噌汁のお湯?があまりに良過ぎるため一回しか浸からなかったが、普通の温泉宿であるなら、このお湯だけでも十分に満足させることが出来そう。






<食事等>
着いた日の昼は「大衆食堂 舞」の中華飯、半ちゃんラーメンを出前。夜は「かりの食堂」のカレーうどんとカレーライスを出前。
翌朝はカップそば。

正直、前者の舞は・・・・・???。二度と取らないなぁ。後者のかりの食堂は「普通」なので次回もお世話になるかも。

朝の8時くらいに館内放送でご主人からご案内。移動販売車が来たとのことであった。パンやレンジでチン出来るものから刺身や惣菜までも。とっても便利で田舎の小さなスーパーで売っているようなものが多い。でも値段は案外と安くない。
元々、朝はカップそばで済ませるつもりだったため、何も買わなかった。

チェックアウトはPM2:15。仙台行きの高速バスに乗るのであるが、ご主人が「外で待つのは寒いから始発の車湯まで車で送って行きますよ」と言って下さったので、お言葉に甘えさせていただいた。
またこのご主人。最近までは全国各地を温泉探訪をされていたようで計40箇所くらい行かれたとのことである。露天や内湯は問わないが、昔ながらの湯治場で自炊をさせるところが好きだそうだ。まさにまるみや旅館そのもの。
それも「諸事情により、今となっては行けなくなってしまいました。しかしもう十分に温泉探訪したからいいんです」とおっしゃっていたが、そのおっしゃっている姿が何となく寂しそうあった。

PM2:33鳴子温泉車湯発。高速バスで仙台へ。仙台駅の「利久」でお決まりの牛タン極を食べて、PM5:50仙台駅発の高速バスに乗る。
渋滞もなく順調。PM11時前には自宅に到着。


会計の際、ご主人が「お湯加減は温くなかったですか?」と聞いてこられたので「ちょうどよかったですよ」と答えた。そしたらご主人は「それはよかったです。我々がどうのこうの言うのではなく、お客さんがちょうどいいとおっしゃるのが一番いい温度だと思うし、お客さんがいいお湯だと思ってもらえるのが一番ですから」と言われたのであった。この言葉に、このご主人の湯守としての凄さを垣間見たような気がした。




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10・11・28〜29(宿泊)