埼玉県 両神山(白井差コース)
実は二年ほど前。日向大谷から入山したが産泰屋根から少し上に登った鎖場にて撤退した苦い経験がある。4月だからと高をくくっていてアイゼンを装備していかなかった我々であったが、甘かった。鎖場から上がツルンツルンだったのであった。それから早や二年が過ぎ・・・・

今度は白井差コースから登りたいと思い、急遽前日の午前中、山中さん宅に電話を入れてみた。
(※諸事情で今、白井差コースは許可なしでは通ることは出来ない。それは私有地であるからつまり山中さんの土地詳細は他のHPでお調べいただければ幸いです。)。
すると山中さん。「この梅雨の時期。天気はどうだかわからないけど本当に登るの?登山道は荒れてはいないけどさ・・・・。まあ、もし登れない状況になったら連絡してあげるよ」と言っていただけた。
声でしかわからないが、いかにも山のおっちゃんといった雰囲気の方。

当日の朝。起きると外は雨。秩父方面に視界を向けると雲は厚い。これで本当に雨が止むのだろうか?

AM5:30 自宅出発。
県内の山への移動はやっぱり楽。関越道花園ICから一般道、皆野寄居有料道路を通りAM7:15には両神温泉薬師の湯に到着。一旦、雨は止んだようだったが、また降ってきた。ここでトイレを済ませて、コンビニで買った朝ごはんを食べて出発。山中さん宅へは「白井差」や「両神山麓キャンプ場」の文字を見落とさずに進めば間違えることはないと思う。すれ違いままならない道もあるが、舗装された道で普通車でも全く問題なし。

AM8:10 山中さん宅到着。
もう先客さんが到着されていたようで我々が到着し挨拶を交わすと出発していった。

ここで白井差コースの規定を忠実に書きたいと思います。
1・必ず予約をして許可を受けること
2・山は危険な場所と認識し自分で事故や怪我の責任は負うこと
3・環境整備料(協力金)1人/1,000円
4・必ずピストンで日帰りとすること
5・岩登り・沢登りは禁止
6・落石・倒木・落枝に注意
7・山や川を汚さないこと
8・動植物・鳥・魚・昆虫など自然を大切にすること
9・土地所有者の指示に従い無謀な入山は止めること


出発準備も終わると、山中さんがちょっと待っててと呼び止める。すると家から地図を持って来られた。これが優れ物。事細かに書かれており、また出発前に山中さんの説明もあり、とってもわかりやすい。非常に助かる。

なお料金は下山時にお借りした地図をお返しする時にお支払い。


山中さんからお借りした地図表面

山中さんからお借りした地図裏面

AM8:21 出発。
しばらくは山中さんと一緒に歩く。そしてのぞき岩の見える場所まで来て、道に迷った場合の目印にこの岩を基準にするよう教えていただいた。すると山中さん。「今日は雨だし上まで行く気がしねえ。1時まで戻って来なければ迎えに行くぞ〜。気をつけて〜」との言葉を残して見送られた(笑)。1時って結構、時間ないじゃん(笑)。頂上でゆっくりしたいけど・・・・。

最初から沢沿いを進む。マイナスイオンたっぷりのと〜っても気持ちのいい道。鮮やかな黄緑色の苔で覆いつくされた岩々とそれらを縫うように流れる水のコントラストがとっても美しい。途中、途中に架けられた橋も上手い具合にキズを付けられており滑りづらくされている。これも山中さんの配慮だろう。

          川に架かる橋と登山口                     非常に整備された登山道

AM8:36 昇竜ノ滝通過。
ここからは、やや急登になる。かといってきついほどでもない。

昇竜ノ滝

しばらく進むと同行者の様子が変であることに気づく。実は昨晩から胃腸の調子が良くなくて、トイレを往復していたのであった。おまけに自宅から山中さん宅に到着するまでもほとんど寝たきり状態。顔が青くなり息が上がり、引き返そうかと幾度となく考える。それでも同行者はあきらめない。心配にもなるが、結構な数の山を登っているので自分の限界ぐらいはわかるだろうと思い、本人の思うがままに従った。ペースは普段よりもかなり遅いがそれでもお借りした地図の標準タイムよりは早い。
それにしてもここ両神山の樹林帯に広がる緑ってすごくきれい。季節の影響もあるのかもしれないが、眼に栄養が行き渡るかのように気持ちがいい。

AM8:55 やまびこ橋通過。画像でもわかる通り、とっても丈夫で綺麗な橋が架けられている。本当にありがたい。




          9:08 オオドリ河原通過                       9:15 水晶坂通過

水晶坂の標識を過ぎるとやや急登へと変化する。しかし、つづら折りの道のため目標が見えるので我慢は利きやすい。実はこの日。自分も体調が良くなかったため息が上がってきてしまう(下の画像だと傾斜が全くわからない。むしろ、緩やかな傾斜って思えてしまう)。

            急登1                               急登2

AM9:37 ブナ平通過。
このあたりで呼吸を整えることが出来る。体調が良ければ大したことはない傾斜なんだけど・・・・・。でもちょうどこの頃、ガスがかかってきて幻想的な雰囲気になってきたのはラッキーだった。それから、このあたりで同行者は黒い動く物体を発見したらしい。本人はクマと言い張るが後で山中さんに聞いたら、ブナ平でクマ??・・・・カモシカかもね。だって(笑)。



このあたりまでくると空から落ちてくる雨は上がり、時折日差しが(^'^)
それから「日差しが出る=気温が上がる」で汗が落ちてくる〜

AM9:58 のぞき岩の下に出る。ようやく見通しの利く場所に出る。山々にへばり付くような雲が何とも言えずにキレイ。


この後もなかなかの急登はあるものの普段であれば、大した傾斜ではない。そうこうしているうちに尾根に出る。

           尾根へ向かう道                        尾根出たところ


ここから山頂まで山中さんの地図では200m。もう近い。


             山頂そばの岩                       山頂そばの岩場

最後に鎖付きの岩場を少し登るとそこが両神山頂(1,723.5m)。AM10:44着。登り始めから2時間23分。結構、かかったなぁ〜。ちなみに岩場は全然大したことはない。これを登れないようなら山登りは止めた方がいいと思えるレベル。自分は動画を撮りながら登ったので鎖を使っていないどころか三点支持さえしていない。

両神山頂の様子

天気が回復してきたせいもあってか、意外や意外。山頂からの景色は絶景である。高さがないのでスケール感はやや欠けるが、清々しい気分にさせてくれる。山々の谷に挟まっているかのように見える雲がステキ!雲取山なども見えるらしいが同定出来なかった(爆)。
昨晩から何にも食べていない同行者はさすがに疲れたらしく、ゆっくりとおにぎりを食べる。自分も食事タイム。この天気のせいか、結局山頂は貸切状態。横切る風も気持ちが良く長居したくなる。

山頂からの景色1


山頂からの景色2


山頂からの景色3


AM11:13 山頂出発。下りは自分に災難が・・・・・。持病の坐骨神経痛が出てしまった。出発して5分後のこと。それからは膝を曲げると激痛。ゆっくりゆっくりと下るしかない。また坐骨神経痛にもっとも悪そうな傾斜の下り(笑)。当然、景色を楽しむ余裕などもなく。

山頂から少し下ったところから見た景色


下山時に撮影したオオドリ河原

そして無事にPM0:57 山中さん宅前(白井差登山口)に到着。いや〜あ。時間、かかりました〜。途中、テーピングで膝を固定したりで何とか誤魔化しながら下りてきました。すると山中さんが草刈をされに来ていたのか、我々が心配になったのか真相は定かではないが、山道と林道の境目付近まで迎えに来て下さった。ここからはゆっくりと話しながら歩く。

入山料を二人分払い、記念の両神山バッチをいただいた後、しばし山中さんの家の前で雑談。しばしといっても一時間も(笑)。大っぴらにしたらまずいお話もいっぱい聞けて、本当に貴重な体験が出来ました!

それから個人的には日向大谷コースより白井差コースの方が断然おすすめです。山中さんが常にお手入れをされている道なので安全ですし、景色はいいですし、なんたって距離が短いので簡単です。

本当は山中豊彦さんについて少し語ろうかと思いましたが、簡潔に表現出来る言葉が見つかったので、その言葉で締めたいと思います。

「山中豊彦さん=秩父の島崎三歩」

以上で〜す。




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12.6.17