島根県 奥出雲湯村温泉 湯乃上館



    
建物は明治6年(聞き間違えたかもしれないが)に建てられたとのことで非常に古いが風情がある。玄関では若女将が出迎えてくれた。アットホームな雰囲気で心が和む。早速、二階の階段を上がって右奥の部屋に通される。この若女将とお話をさせていただいたが何と我々と同郷なのだそうだ。手っきり地元の方かと思ったが、わざわざここ湯村温泉に嫁いだとのことだった。
部屋は6畳くらいの大きさ。窓から見える景色がまた素晴らしい。またこの建物は古いが清掃が行き届いており気持ちがいい。ちなみにトイレはウォシュレットでしかも綺麗。この時点でこの宿に惚れ込みました。
      


ここ湯乃上館に宿泊したら、語らなくてはならないのが番犬?「ソフィア」の存在。メスの5才だそうだ。若女将に甘噛みすると言われていたが、それはご愛嬌。人懐っこくて可愛い。大の犬好きの同行者が撫でていると(マッサージのようなことをしていた)気持ちがいいのか腹を上にして「好きにして状態」になった。また目がトロ〜ンとして最後にはほとんど寝てしまっていたようだ。またこの「ソフィア」。頭がいいのだろう。私が「ソフィア」と呼ぶと必ず振り返り「何か用?」と言わんばかりの顔をする。
 


若女将に勧められ、夕食前にこの湯乃上館の正面にある共同浴場の貸切風呂に入ることにする(宿泊者のみ無料)。夕食はPM6:30からにしていただいたが、すでに時間はPM5:50。若女将は「夕食の時間は気にしなくていいですからゆっくりと入ってきて下さい。一時間入っても構いませんから」と言って下さった。なのでお言葉に甘えて一時間入ってしまった。ちなみにこの湯乃上館自体はお風呂を持っていない。宿泊者は正面にある共同浴場に入ることとなる。但し、共同浴場の管理はここ湯乃上館が行なっている。
家族風呂は中から鍵を掛ける仕組みになっている。浴室は木造、湯船が石を敷き詰めたもの。簡素と言えば簡素だが窓を開けると下を流れる斐伊川を見ることができる。またこの川が気持ちのいい風を運んでくれるため、逆上せを防止してくれる。浴槽は6人くらいは入れる大きさ。お湯は無色透明、無味無臭。強いて上げればほんの少しの石膏臭を感じる程度。しかし何の特徴もないお湯であるが、何故だか気持ちがいい。一般的に言われる表現をすれば優しい湯である。私流に表現すれば「すっきり、さっぱり、あっさり」である。温度は40℃くらい。長湯が出来る温度である。あまりに気持ちがいいため、斐伊川を流れる水面をぼ〜っと眺めながら至福のひと時を過ごす。
    


PM6:50。夕食である。離れにある囲炉裏の食事処でいただく。席に着くなり岩魚が焼かれており、すぐに食べれる状態であった。雰囲気のいい囲炉裏なのでついつい地酒「太平洋」を注文してしまった。食事はどれも手作りのようだ。出されたもの全てが非常に美味しい。岩魚も煮物も猪鍋もみんな。中でもアジのたたきが素晴らしかった。小骨が全くないのである。感動である。ポン酢のようなもので食べるのであるが、とにかく美味い。若女将に聞いてみると小骨は毛抜きで丁寧に全て抜いているとのことだった。おいしい地酒のせいもあってか8:00過ぎまで夕食を楽しんだ
もう共同浴場も閉まっている(AM10:00〜PM8:00まで)。なので、部屋でゆっくりとする。しかしお酒の手伝いもあってかPM10:30には寝てしまった。


翌朝はAM5:45起床。こんなに早く起きた理由。それは共同浴場が貸切になるからです。AM6:00〜共同浴場営業開始のAM10:00までは宿泊者のみの入浴となる(とは言ってもAM8:00からは掃除になるため実際は入浴出来ない)。
もう一組のご夫婦は男性風呂へ。我々は女性風呂へと入る。基本的に作りは同じ。まずは露天風呂から入る。ちなみにこの露天風呂は内湯の廃湯が流れてくる仕組みになっている。なので露天が先。非常に開放感がある造り。家族風呂同様に斐伊川を眺めながらの湯浴み。非常に気持ちがいい。お湯は家族風呂同様。温度は39℃〜40℃くらいだろうか。
      
次に内湯。温度は露天より若干高く41℃くらい。ここも気持ちがいいが、何と言っても露天風呂が気に入ったため、さっさと上がり、再び露天風呂へ。日帰りで共同浴場を訪れた場合、露天風呂は若干、なまり湯になるはずであるが、今は貸切でしかも本日最初の入浴が我々。新鮮そのもののお湯を楽しめる。いや〜極楽、極楽(古いか?)。
  
また男性風呂には入りませんでしたが画像のみ載せたいと思います。
      


朝食はAM7:30から、宿泊している部屋とは別の部屋でいただく。これまた家庭的な料理でどれも美味しい。ひとつひとつ丁寧に作っていただいているのがわかる。豆腐はわざわざ温めているようで、湯豆腐のよう。中でもふわふわの玉子焼きは何だか懐かしい味がして非常に満足だった。
 


この湯乃上館。200点満点の宿です。家族経営のため限定二組しか宿泊させないようだが、その分、せかせかしたところが全くなく、我々も非常に落ち着く。料理も丁寧でどれを取っても美味しい。また古い建物であっても清掃が行き届いている。山と川に囲まれた環境もお湯もみな素晴らしい。若女将のマニュアル的でない、ごく自然な対応も気持ちがよかった(さすがは埼玉出身!)。それとこれだけいい思いをさせてもらったにもかかわらず宿泊代が安い(GWで1人/14,010円)。今まで宿泊した温泉宿の中でお気に入りダントツ一位がこの「湯乃上館」です。出雲に行ったら必ず宿泊したいと思います。
08.5.4〜5(宿泊)

<番外編>ここ奥出雲湯村温泉はかなり古くから自然湧出している温泉です。源泉は沢山あるようで斐伊川のほとりからもボコボコと温泉が湧いています。共同浴場から上流へ100mくらい進んだところに野湯があります。かなり整備されていますが、野湯のため脱衣所は当然ありませんし混浴です。朝食の前にサクッと入ってみました。目線が斐伊川の水面と同じになるため川に入っている感覚になります。湯船?の底の砂利からはボコボコとお湯が湧き出ています。とっても気持ちがよく、正直、湯村温泉でもっとも気に入ったお風呂がこの野湯です。開放感があり、自然と一体になった感覚を覚えます。聞こえるものは川のせせらぎと鳥の声のみ。ここでの寝湯は最高だと思います。
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