鳥取県 三朝温泉 木屋旅館
三朝温泉は想像していたよりもずっと寂れた雰囲気であるが、その寂れた素朴な雰囲気がとってもいい。
ちなみに木屋旅館さんは「国登録有形文化財」に認定されているらしい。確かに建物自体、歴史の重みを感じさせる素晴らしい雰囲気を持っている。場所も一方通行の狭い「温泉本通り」のほぼ真ん中に位置する。

我々の部屋はお風呂に一番近い「蘭」いう部屋。ちょうど真下がオンドル部屋にもなっているようで思いのほか、暖かい。窓からはゴオ〜と音を立てる急流の三徳川が見える。トイレはものすごくきれいで当然シャワートイレ付。

       温泉本通りから見る木屋旅館                      木屋旅館玄関


          宿泊した部屋の前                         「蘭」の様子

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<元湯(楽泉の湯)>
ここは貸切。空いていれば鍵を掛けて自由に入れる。もちろん24時間OK。フロント前の扉を開けて地下へ下りると脱衣所。そして浴槽がある。浴槽は左右に二つ。壁は模様が描かれたタイルのようなものが貼られている。少し西洋チックな感じもしてとってもすてきな雰囲気。掛け湯をするが熱くてとてもではないが、浸かることは不可能。仕方がないのでジャンジャン加水する。湯底には三つに分かれた石材が置かれており、その隙間からラジウム泉が足元湧出しているのである。湧出量はそれほど多いとは思えないが、じっとしていると「ポコ。ポコ」っと大きな泡が水面に上がってくるのがよくわかる。お湯は無色透明で若干の薬品のような匂いを感じた。入った感じは優しいお湯だと高をくくっていたが大間違い。5分もするとガツ〜ンとやられるのである(笑)。これがラジウム泉の凄さであるかはわからないがものすごいパワーのあるお湯である。上がったあとも汗が吹き出るよう。そして何故だかヘロヘロになる。しかしその後、しばらく休んでいると毒素が抜けたが如くすっきり爽快。これは癖になる。素晴らしい名湯。総合的に考えると自分の中では「身体に効きそうなお湯」の最上位ランクに位置するほど素晴らしい。また浴室の端にある枕湯(飲泉)を飲んでみた。熱いが結構、美味い。若干の塩気を感じる、だし汁のような味がした。浴室の風情といいお湯といい、惚れました!!

ついでに言わせてもらうと浴室の床もオンドル式になっており、山陰の寒い冬でも足元ポカポカ。

           元湯入口の前                           元湯の脱衣所


            元湯浴室                             元湯浴室


            元湯浴室                         元湯浴室の端にある飲泉「枕湯」


         元湯浴室上の湯気抜き                 元湯浴槽湯底から湧き上がる源泉


元湯浴室

実は翌朝に事件が・・・・・。深夜から降り続く雨で三徳川が増水。足元湧出泉の元湯もその影響を受けて浴槽が湯没?すごいことになっていた。しかも朝食前と後で水位ならぬ湯位?が上昇を続けていた。女将さんに聞くと「台風の時はこんなもんじゃないですよ」とのことで特段、びっくりすることもなくあわてることもなく笑いながらおっしゃっていたのが印象的だった。これも自然の為すことで諦めも肝心。さすがは三朝温泉の名旅館の女将さんだなぁと思えた。

湯没後の元湯(湯船が完全に湯没している。溢れたお湯、川水だけではなく温泉でもあり、熱い)


右と下の画像は元湯の中にある「枕湯」と「元湯」そのものの解説です。どちらも木屋旅館さんで書かれたものです。味があって好きです。


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<家族湯>
我々の部屋のすぐ前にある。脱衣所は地上であるが浴室は地下。階段を下りて行くとそこには二人も入ればいっぱいなコンクリート製の浴槽。温泉マニアにはたまならい光景。湯治場の雰囲気がプンプン。何となくであるが東鳴子の温泉を思い出させてくれた。お湯はやはり熱く全く入れる温度ではない。なので思いっきり加水。湯底にはスノコとお尻を置けそうな台が二つ置いてある。そして浴槽横から源泉が掛け流されている。ここの浴室の床もオンドル式なのか暖かくてGOOD。お湯は基本的に元湯と変わらないが、昭和を感じさせる雰囲気がとっても好き。熱くてパワフルなお湯のため、長くは疲れないが充実感に浸れる家族湯であった。ここはあまり人気がないのか、ほとんどの時間、空いていたようだった。

     家族湯脱衣所と浴室に向かう階段                      家族湯浴槽


           家族湯浴槽                        家族湯浴槽から見た脱衣所方面

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<男湯(河瀬の湯)>
見学だけして一度も入らなかった。元湯や家族湯が良すぎるため自分にはここに入る必要がなかった。カランやシャワーもここだけにしか備え付けられていないため、体をじっくりと洗いたい方はここを必ず利用するだろう。
同行者が女湯に浸かったが感想を聞くと「いいお湯だったよ」と言っていた。

            男湯脱衣所                             男湯 1


              男湯 2                             男湯 3

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<オンドル部屋>


  我々の宿泊した部屋のすぐ横の階段を下りると               オンドル部屋

部屋に入った瞬間から温かかった。試してはいないが、寒い日にここで横になってゆったりするのは、さぞ気持ちのいいものだろうと想像出来る。
でも木屋旅館さんには素晴らしいお湯があるから、この部屋の必要性は感じなかった。

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<食事>
夕食、朝食とも部屋食。
夕食はPM6時からにしていただいた。味はどれも美味しく満足であるが、量が少ない気がする。最後に雑炊出されるが、足りない人のためにご飯を用意してもいいのではないかと思う。高校生だったらきっと腹五分目にしかならないだろう。

          食前酒・刺身・前菜?                    タンシチュー(これは美味い!)


          穴子と野菜の煮物                         雑炊とおしんこ


             天ぷら                   デザートのかしわもち(木屋旅館さんで作ったらしい)

朝食は7時30分からにしていただいた。
特別なものはないが、美味かった。朝ごはんなのに久しぶりに食が進んだ。豆腐は温かく「湯豆腐風」になっており、焼きサバも温かかった。温泉卵をご飯にぶっかけて朝から二膳も食べてしまった。


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<その他の設備>
女湯については同行者が携帯で撮影した画像を載せます。男湯同様、体を洗うにはここがよいとのこと。


この木屋旅館さんは建物自体が国有形文化財であるようにとってもレトロでいい雰囲気。女将さんが手掛けた藍染もところどころに飾られており、どこかの博物館に来たような感覚にもなる。


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<三朝温泉の様子>

           温泉本通り                          三徳川に架かる恋谷橋


         三徳川に架かる三朝橋                       三朝橋の袂


         三朝橋上から見た三朝温泉                公衆浴場の足湯・河原風呂


花湯まつりの大綱引きで使われる綱を結っているところ       花湯まつりで打ち上げられた花火


           夜の木屋旅館                       夜の温泉本通りと木屋旅館



           足湯となった株湯                         株湯浴槽アップ


    株湯前の飲泉場(ほんの少しの塩気あり)
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木屋旅館さんの元湯のパワーには圧巻です。10分も真剣に浸かっていると「ぐた〜っと」きます。そのくらい体に効くのかもしれません。しかし、その状態で一眠りする体はスッキリ爽快。

癒し目的(心)でも良し。湯治目的(体)でも良し。木屋旅館さんはどちらも兼ね備えている宿だと思いました。また、これこそが温泉宿の理想の姿なのかもしれないのではないかって思いました。三朝温泉全体の雰囲気も相まって、とってもお気に入りの温泉宿になりました。

翌日は雨で入山禁止となった三徳山投入堂への再訪の際にはぜひ木屋旅館さんを利用したと思います。




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12.5.3〜5.4(宿泊)