宮城県 川渡温泉 山ふところの宿みやま
両親が鳴子ってどう?と言ったことが今回の旅のきっかけになりました。母親が50数年ぶりという平泉中尊寺、そして鳴子峡〜鬼首と一泊二日にしては内容の濃い旅となりました。


中尊寺金色堂

鳴子峡大深沢橋より
PM3:30過ぎに到着。川渡温泉街のはずれに位置します。
外観はまるで民家のような造りです。普通の農家に来たような感覚さえあります。向かって左手には茅葺屋根の建物。正面と右手が宿として使用されています。
車を置き、荷物を取り出していると正面の玄関からご主人が出てきて下さいました。とても親切そうな、感じの良い方です。他愛のない話をしながら宿の中へと入りました。玄関でも感じの良い優しそうなおばあさん(大女将と呼ぶべきなのでしょうか?でもこの宿にはそんな堅苦しい言葉は似合いません)も出迎えて下さいました。
両親は一階の「キビタキ」という浴室から一番近い部屋、我々は二階の「コゲラ」という部屋に案内していただきました。




<風呂>
このみやまには露天風呂も貸切風呂もありません。男女別の浴槽がひとつずつです。これにも好感が持てます。湯量が1分間/40Lとのこと。この湯量に見合った浴槽しか造らないことに共感します。浴室に入ると木の香りがふ〜っと鼻を抜けます。この時点ですでに癒されています。浴槽は4〜5人も入ればいっぱいになりそうな大きさです。また浴槽の縁は木製ですが、浴槽内部は石で出来ています。お湯の温度は40〜41℃くらいでまったり出来る温度です。単純温泉という泉質からもわかる通りお湯自体に匂いや香りはほとんどありません。しかしほんのりとモール臭がします。お湯の色はというとコーラ色と表現するのがわかりやすいかと思います。温度と泡付きを除けば、近くにある馬場温泉のお湯と非常によく似ています。
ほとんどの時間を独占で利用出来ました。温度が自分好みでちょうどよくとても気持ちのいいお湯です。
朝食後、最後の湯浴みをした際に泉質が変わっていることにびっくりしました。昨日には感じなかったベタベタ感がするのです。湯から上がると肌はスベスベになりますが、湯に浸かっている間はベタベタ。これは泡付きの温泉ではよくある感覚です。

カラン、シャワーは5つ。ボディーソープ、シャンプー、リンスも当然完備。








<宿の調度>
外観からは想像出来ないほど、モダンな内装です。木をふんだんに使用いるせいか、心地よい木の香りがして非常に気持ちがいい。ご主人に聞いてみると、改装してから何と13年目も経っているとのこと。とてもそんな風には思えません。とっても清潔で気持ちがいいです。
一階の奥には談話スペースのような場所があります。ソファーがあり、ここに腰をかけて読書をしたり・・・なんてとってもおしゃれです。またバルコニーもあり、ここへ出て、ほのぼのとした東北の空気を思いっきり吸うのも気持ちがいいです。






<食事>
予約時には部屋食と言われていましたが、急遽、食事処が空いたとのことでラッキーでした。食事処では他のお客さんと顔を合わせることなく食事をいただけました。この辺の配慮も嬉しいです。
夕食はPM6:30から。特別に豪華なものはなく、むしろ素朴なのかもしれません。しかし非常に美味しい。身体が洗われるとでも表現した方がよいのでしょうか。す〜っと胃の中に入っていく料理です。苦手な鯉こくも臭みがほとんどなく食べられました。


朝食はAM8:00から。檜のお櫃に入ったご飯(ササニシキ)が美味しい。朝食を食べない自分が二杯食べました。食後のコーヒーも炭焼きの香りがとっても印象的でした。美味しい。

ここの食事は人間を健康にしてくれそうな気がします。直感的にそう感じます。カロリーだとか無農薬だとか頭で考えるのではなく・・・。


<その他>
このみやまで売っていたこけしの絵をえらく気に入った母が、この絵を売っている店を女将さん(奥さん)に聞いたところ、「わかりづらいから車で案内します」と言われ、帰りの際にご主人に先導していただいたのでした。このご主人。「ちょっと寄り道」と言いながら、わざわざ潟沼へと案内して下さいました。水面に映る紅葉で色づいた山々がとっても美しい。両親も大変喜んでいました。こういうのってすんごく嬉しいものです。人を喜ばすのって、やっぱりお金じゃないんですよね。真心なんですよね。


潟沼にて


またまた素晴らしい宿に出会いました。どんな高級旅館や名旅館にもないものが、この「みやま」には備わっているような気がしました。それはビジネスというものを全くといっていいほど感じさせないところです。この感じさせないというところがとても大切だと思います。もうひとつ言わせていただきますと自然体な宿だということです。無理をしている、背伸びをしている部分が全く見えないのです。だから我々宿泊客も自然体で心身を休めることが出来るのではないでしょうか。

あまりしてはいけないことだとは思いますが、私が好きな温泉宿である奥山田温泉満山荘とついつい比較してしまいます。どちらも甲乙付けがたいほど気に入っています。ですがこの二つの温泉宿の違いを自分なりに表現すると時間の流れ(速さ)が明らかに違うと思います。満山荘よりみやまの方がゆっくりのような感じがします。なので比較的若い夫婦、カップルなどは満山荘。少し年の取った?夫婦などはみやまの方がよいのかなって思いました。
ゆっくり温泉に浸かって、ゆっくりご飯を食べて、ゆっくり寝る。この言葉にピッタリなのが「みやま」だと思います。



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09.11.6〜11.7(宿泊)