青森県 古遠部温泉

東北道碇ヶ関ICから国道7号線を南下。しばらく進み鹿角方面の標識(国道282号線へ)が見えてきたら、左へ入る。国道282号線を約3.5km進み、東北道の巽橋という赤い橋が見えてきたら、要注意。左前方に古遠部温泉の看板が目に入る。その看板通りに左折。舗装された細い道を1kmほど進んだ行き止まりに古遠部温泉がある。




PM2:30到着。かなりの山奥である。当然、携帯電話は圏外。駐車場には車が一杯。何とか駐車スペースを確保したくらいだ。よほど人気があるのだろう。この古遠部温泉には二匹の番犬がいる。ブサイクであるがかわいい顔をしている。思わず触ってしまおうかと手を出したくなるが、この番犬には絶対に触ってはいけないらしい。何故か?。それは番犬だからである(笑)。訓練も受けた正真正銘の番犬。何と日帰り客の帰ったPM8:00以降は放し飼いにして熊や猿が宿を襲撃するのを守っているらしい。だから敵とみなした瞬間に平気で噛み付くようである。なので「夜は絶対に外出禁止」と宿のお姉さん(女将さんかも?)に言われた。

今回はここ古遠部温泉に二連泊。温泉宿では初めての体験。同行者の「たまには連泊もいいんじゃない」との発言により、そうなったのであった。

受付を済ませ階段を下りたところが宿泊部屋。我々は菊の間?という浴室から一番近い部屋へと案内された。ふとんがすでに敷かれているのが嬉しい。窓を開けると、この温泉の析出物が作った黄色いドーム?が真下に見える。そのすごさには圧巻である。部屋の広さは6畳くらい。テレビも置いてある。映りを確認するが、しっかりと映っていた。ここで西洋風のお顔立ちをした宿のお姉さんからこの宿についての説明が一通りあった。前出の番犬の件も。



まず最初に言っておきたいのですが、ここのトイレは男女共同でしかもボットン式。男性用便器が1。男女兼用便器が洋式1。和式1。しかしこんな山奥なので仕方がないと思う。水洗を望むのは酷かもしれない。
しかししかし。非常に非常に綺麗に清掃されているのである。思ったよりボットン式特有の臭いもきつくない。きっと毎日、丁寧に清掃されているのであろう。これにはびっくりである。脱帽である。自分の勝手な公式(トイレの清潔感=宿のレベル)によるとこの時点でこの古遠部温泉は間違いなくいい宿なのだろうと想像出来た。

<浴室>
男女別に内湯がひとつずつ。浴槽の大きさは2m×4mくらい。女性にはきついと思うが湯治宿らしくカランやシャワーはない。湯口は一箇所であるが、とにかく湯量が半端ではない。この宿全体で1分間/500Lもあるらしいが、浴槽の縁にはドバドバととんでもない量の湯がオーバーフローしている。厚さ?はおおよそ2cm。まるで洪水状態。体感温度がだいたい42℃と熱めのため、長くは浸かっていられない。なのでみなさんは肩まで温まっては、浴槽の横でトドのように寝そべってオーバーフローした湯を浴び、そしてまた浴槽へといった具合で入浴されている方が多かった(自分もだれもいない夜にやってみましたが気持ち良かったです)。
お湯の色は湯口では無色透明であるが、浴槽内はうぐいす色〜黄緑の間を行ったり来たり。日光の加減で見え方が変化する。飲泉もしてみたが鉄臭+塩味。美味くはないが飲めないことはない。お湯の肌触りはベトベトした感がある。上がってみるとそうでもないのであるが、お湯に浸かっている間はベトベト感がずっとあった。
お湯の匂いがまた特徴的。鉄臭+甘い石膏臭。硬いイメージのある鉄臭とやわらかいイメージのある甘い石膏臭。何とも面白い組み合わせである。
体感温度が42℃くらいであるが、長湯はできない。超新鮮なお湯がドバドバと掛け流しされており、浴槽内の温度はほとんど下がらず肩まで浸かったとしても5分くらいが限界だと思う。自分はかけ湯→半身浴→全身浴→半身浴→全身浴の順番で入浴をし、トータルで10分くらい。しかし宿泊のため1時間〜2時間おきに就寝するまでこれを繰り返していた。朝も食事の前に一回。食後に一回。
このお湯の感想を単刀直入に言うとものすごいパワーのあるお湯。身体にビシッとドシっとくるお湯である。濃さはそれほど感じないのに不思議である。何故だか圧倒されるお湯なのである。他の温泉と比較すると島根県小屋原温泉熊谷旅館のお湯の温度を高くしたような印象。ちなみに最近持病の腰痛が出てきていたが、このお湯のおかげですっかり良くなっていた。











<食事>
夕食はPM5:00から。今時、こんなに早い時間の食事は珍しい。時間になると宿の方が呼びにきて下さる。食事場所は1Fフロント横にある大広間にて。非常に安価な宿泊代にもかかわらず豪華。一日目に出た岩魚の塩焼きや天ぷら、二日目に出た、ぶりの照り焼きは熱いうちに出してくれて、また一日目はきりたんぽ鍋。二日目はタラのアラを使った鍋(じゃっぱ汁の鍋)といった郷土料理。何気に料理にもこだわりが感じられて非常にびっくりしたのと同時に美味だった。非常に満足。
朝食はAM7:00から。一日目は非常に脂の乗った鮭のハラス。二日目は大きな鮭の切り身。夕食同様、どれも美味しく健康的なメニュー。これまた非常に満足。

安価な宿泊代なのに申し訳ない気持ちになるくらい美味しい食事だった。


ここ古遠部温泉。湯治宿だけあって一泊二食付で宿泊代が1泊/6,900円と非常に安い。お湯も素晴らしいし、山に囲まれた環境も最高。携帯が圏外なのもGOOD(笑)。宿の方も適当に放っておいてくれて(っていうよりも放りっぱなし)気兼ねしなくていい。ここのお湯は地元の方々からも大人気。ゆえに日帰りだとお客さんも多くてゆっくりとここの良さを味わうことができないかもしれない。なのでやはり宿泊をして、夜や朝のだれもいない浴槽にひとりぽつんと浸かり、湯口からゴ〜ゴ〜と勢いよく音を立てて流れ出るこの湯をだれにも邪魔されずに堪能するのが一番良いのではないかと思う。
あくまでも私的な感想であるが、お湯のパワー圧巻度としては現在のところ、西の小屋原温泉(もしくは千原温泉かも)。東の古遠部温泉。ではないかと。
今度、青森に行った際にもぜひ宿泊し、このお湯のパワーに押しつぶされてきたいです。


あっ、言い忘れましたが地元のじいさんとお話をするのを出来るだけ控えたほうがいいかもしれません(笑)。何せ津軽弁が全く聞き取れず(英語の方がまだ聞き取れそう)、何度も聞き返す羽目に(泣)。しかし冷静に考えてみれば何度聞き返しても理解は出来ないはずです。言語が違うんですから(笑)。結局、理解した振りをして、ただ相槌を打っていました(じいさん。ごめんなさい)。
ちなみに同行者は地元のおばあちゃんから、話しかける際にご丁寧にも「あんた津軽弁はわかるけ?」と聞かれたそうです。同行者は正直に「全くわかりません」と答えたそうです(笑)。そのおばあさん。それでも懲りずに話しかけてこられたそうです。でも何だかそういうのって温かいですよね。言葉はわからなくてもあの優しそうな表情を見ているだけでこっちまで幸せな気持ちになるんです。やっぱり人間って言葉だけじゃないんですよね。
08.10.11〜13(宿泊)
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